鳥と鉛筆

2021.08.12

小児(12歳以上)は新型コロナワクチンを接種した方が良いのか?

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新型コロナワクチン供給が不足して一旦止まっておりましたが、、、

 

ついに!奈良市の新型コロナワクチン接種が再開されます。

 

新型コロナワクチン予約再開

 

40歳以上からのスタートでしたが、ついに小児にも接種可能になりました。

 

相変わらず新型コロナワクチンに関しては、準備が整う前から見切り発進、と言うような状態が続いています。

 

一旦決まったことが変更になったり、知らない間に何かが決まっていたり、、、、、
ビーバー君
ビーバー君

 

クリニックもその度にそれに合わせて動かざるを得ないですので、なかなか大変です!

 

奈良市の方も頑張ってくれています。少々準備不足でも、接種が遅れるより良い!

 

こちらも頑張っていきます。

 

 

はじめに

 

さて、今回は小児(12歳以上)の新型コロナワクチンについてです。

 

8月20日以降から、奈良市から12歳から15歳までの小児に、新型コロナワクチンの接種クーポンが発送されています。

 

つまり、9月から接種が可能になります。

 

診察中に、「うちの子にはコロナワクチン、打った方がいいですか?」と質問いただくことが増えてきました。

 

まだ情報が少ないですが、接種は始まりますので、現時点での私の考えを書きたいと思います。

 

(原稿執筆時点2021年8月11日での記事(2021年9月11修正)ですので、今後改変するかもしれませんけれど!)

 

まずは結論。

 

少々乱暴ですが、私の私見です。

  • 接種推奨します。
  • 健康な小児は「心配なら」待つのもアリ。
  • 基礎疾患がある子は接種する方が良い。
  • 行動制限がかかるのが困る人(受験生など)も接種すると良い。

 

公的機関の考え方

 

日本全体としてどういう方向性をもって接種をすすめていくのか?

 

公的機関として厚労省と小児科学会の考え方を見てみましょう。

 

厚労省の考え方

 

子供はワクチンを接種することができますか?

で答えています。

 

、、、とくに良いとも悪いとも書いていません。

 

日本小児科学会の考え方

 

こちらは一番日本の小児科医の考え方に影響を及ぼす日本小児科学会の提言です。

 

新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~

に基本の考え方が述べられており、

 

それに対するQ&Aがこちらです。

 

こちらはかなり情報を書いてくれています。

 

要旨としては

  • 12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は意義がある
  • 接種にあたってはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解していることが大切である。
  • 周囲の成人の新型コロナワクチン接種が、子供を守ることになる。

 

接種しても良い、という書き方です。

 

小児科学会のHPを参考に現時点での情報をかんたんに、私なりに整理したいと思います。

 

興味のある人はくわしくは小児科学会のサイトをじっくり見てみてください!

 

 

小児への新型コロナワクチンを検討する時に知っておきたいこと

 

小児は新型コロナウイルス感染症につよい

 

これまでのコロナウイルスは小児への感染が少なく、クラスターの発生は極めて稀でした。

 

小児にコロナは無縁のような感じでした。

 

新型コロナは、幸いなことになぜか?小児はかかりにくいのです。

 

ただし、かからないわけではありません。

 

重症化はしていないですが、感染した小児の4.4%が1ヶ月以上も頭痛に苦しんだ、というような報告もあります。

 

さらには、まれにですが重症化したケースも報告されています。

 

しかし、デルタ株のような変異株が出現し、小児でのクラスター発生も散見されるようになってきました。

 

もしかしたら今後の変異株の内容によっては、小児にもどんどん感染したり重症化するタイプも出てくるかもしれません。

 

現状は大人よりはかなりマシな状況ですが、初期の頃とは状況は一変しているといっても良いでしょう。

 

皆さんに身近な学校でもコロナが出たと言う話を聞くことが増えているのではないでしょうか?

 

デルタ株での小児の症状はこれからまだまだ情報が集まってくると思われますが、

 

まだ、すごく重症化しやすいわけではなさそうです。

 

これまでのように無症状ではなく、結構しんどくなる子も多いようです。

 

「小児はコロナにつよい」ままであってくれることを祈るばかりですが、、、、いつまで続くか?

 

 

新型コロナワクチンは若い人の方が副反応が多い

 

新型コロナにかかっても無症状の子も多い一方、ワクチンでは発熱することもあります。

 

一般的に高齢者と比べて思春期の子ども達、若年成人では接種部位の疼痛出現頻度は約90%と高く、

 

接種後、特に2回目接種後に発熱、全身倦怠感、頭痛等の全身反応が起こる頻度も高いことが示されています

 

 

注射が怖くて、迷走神経反射で気分が悪くなったり、倒れたりする子もいるでしょう。

 

これでは感染した方が楽なのでは?と思ってしまいますね。

 

しかし、実際に感染した際に無症状で済むかどうかはかかってみないと分かりません。

 

デルタ株の出現で小児は感染しにくい、というところが崩れつつあります。症状がある子も増えています。

 

熱が出るからワクチンのほうが損、とはもう言えなくなっています。。

 

 

長期的な副作用のことはわからない

 

新型コロナワクチンは小児への使用経験が少なく、しかもmRNAワクチンとよばれる新しいタイプのワクチンです。

 

私は新しいテクノロジーが大好きですので、せっかく開発してくれた武器を使わない手はない、と思ってしまいます。

 

これからどんどんこの技術が使われて新しいワクチンが出てくる可能性を秘めています。

 

しかし、新しいものですから、20年後、30年後のような長期的なことに関しては、誰にもわかりません。

 

何も無い可能性の方がはるかに高いですし、そんな先のことまで心配してたら何もできない、と個人的には思いますが、

 

そうはいっても、わからないものはわからない。

 

まして20、30年先も元気でいてもらわないと困る、大切な大切な、将来ある子供達のことです。

 

ここは厚労省も小児科学会も結局いくら調べたって断言できませんから、歯切れが悪くなってしまいます。

 

小児はコロナでの重症化リスクがそれほど高くない以上、そこまで急いで接種しなくても、もう少し様子を見るのもアリでしょう。

 

 

新型コロナワクチンの小児への有効性は?

 

しっかりとあるようです。

 

海外の小児(12~15歳)への接種経験によれば、新型コロナワクチン2回接種後、新型コロナウイルス感染症を発症したのは

 

  • ワクチン接種あり→ 0/1,119人
  • ワクチン接種なし→ 18/1,110人

 

という報告があります。

 

この報告から、新型コロナウイルス感染症に対する高い予防効果が期待できます。

 

また新型コロナワクチン接種後の抗体価は16~25歳にくらべ12~15歳の方が高かったという結果でした。

 

 

新型コロナに感染したら行動制限はかかります

 

新型コロナウイルス感染症は現在、2類感染症といって、

 

症状がない人でも入院や自宅療養など、とにかく隔離、管理されます。

 

インフルエンザのように5類に格下げされれば、話は大きく変わりますが、

 

このまま2類感染症扱いが続くなら、万が一感染したら、隔離です。

 

 

これらを踏まえて、小児へのコロナワクチンは接種した方が良いのか?

 

健康なお子さん

 

治療法が確立されていない現在、ワクチンは唯一のまともな対抗策です。

 

コロナにかかりたくない人はモチロン接種しましょう。

 

長年、小児科医をやっていますと、軽症と言われている感染症でも重篤化することを経験します。

 

突発性発疹やインフルエンザの脳炎で死亡したり、後遺症が残るお子さんを毎年のように見てきました。

 

手足口病ですら脳炎を起こして死亡した例も見たことがあります。

 

今後知見が集まってくれば、重症例の報告もきっと出てくるでしょう。

 

今のところ大丈夫だから大丈夫、とも言いにくいです。

 

もしかしたら、コロナワクチン接種していたらよかった、、、とあとで思うこともあるかもしれません。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

インフルエンザ脳炎で亡くなったお子さんのご両親が「もしワクチン打っていたら、、、」とおっしゃっていたこともありました。

 

 

ネガティブなことにばかり目が行きがちですが、ワクチンが有効なのは明らかです。

 

いざ何か新しい事実が判明して、みんなが「早く打ちたい!!」ってなった時には、なかなかワクチンがないかもしれません。

 

 

医療従事者のワクチンだって、最初は「われわれで人体実験か?」とか、言われながらで先行接種しましたが、

 

今となっては接種してて本当によかったです。安心して診療できています。

 

 

ワクチンの長期的な予後が心配な方は、どうでしょう?

 

元気で病気のないお子さんたちにとっては、現時点ではコロナは感染はしても 命に関わるようなことは少ないです。

 

そう言う意味では、それほど怖くありません。

 

このままコロナが重症化しない株でいてくれるならば、接種しないで、もうすこし使用経験を待たれても良いかもしれませんね。

 

 

そんなわけで、

 

小児にも新型コロナワクチンは十分効果がありますので、少々接種後に熱が出たりするかもしれませんが、接種するメリットはあります。

 

私としては推奨したいと思います。

 

しかし心配な人は、急がなくても良いとも言えます。

 

「先生の家族には打たれるのですか?」というご質問もよくいただきます。

 

はい、うちます。(また奈良市の小児の接種が開始していないですのでまだですが、早めにうたせるつもりです)

 

 

基礎疾患をもつお子さん

 

重症化リスクのある病気を持っているお子さんは、コロナでも重症化しやすいと考えるのが自然です。

 

いくら新型コロナワクチンの20年、30年先の副作用がわからない!とは言っても、毒を打つわけじゃあるまいし、

 

基礎疾患があるお子さんは、ぜひ接種したら良いのでは?と思います。

 

 

周囲が罹らなければかかりにくいですから、周囲の大人たちがしっかりワクチンをする、というのも大切でしょう。

 

 

行動制限されたくないお子さん

 

社会的側面は無視できません。

 

受験生はどうでしょう?

 

何年も遊ぶの我慢して、準備してきて、直前にコロナになって受験できない、なんてありえないですよね。

 

  • あるかどうかもわからない20年、30年先のワクチンの副作用のリスク
  • 受験不可能になるリスク

 

どっちを取りますか?

 

この辺は、個人の価値観により異なるのでしょう。

 

他にも、重要な留学を控えているお子さん、就職に必要、などいろいろ事情はあると思います。

 

ワクチンパスポートという考え方もあり、海外ではワクチン接種していれば入国できる、なんて話もありますね。

 

行動制限という観点から見れば、接種している方が自由が効くのは間違いないでしょう。

 

 

結論

 

私自身は接種した方が得だと思っています。私の家族も接種します。

 

しかし長期的な副作用が誰にもわからない以上、あとは個人それぞれの判断です。

 

どれだけコロナになりたくないか?なったら怖いか?は個人で異なります。

 

白か黒か、という話ではありませんので、ご自身でお決めになってください!

 

よし、接種しよう!と思われたら

 

私の過去記事

もぜひご参考にしてください。

 

それでは!

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