鳥と鉛筆

2021.08.13

成長ホルモンが低い?低身長の原因をしらべかた(その2):成長ホルモン分泌負荷試験!

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前回、成長ホルモンが低い?低身長の原因をしらべかた(その1)では、まず低身長で受診された時にどのような検査をするかのお話をしました。

 

この結果、成長ホルモンが低いかも??となった場合には、

 

成長ホルモン分泌をきちんと調べる必要があります。

 

ではどのように調べるのでしょうか?

 

それが成長ホルモン分泌負荷試験です。

 

成長ホルモン分泌負荷試験

 

成長ホルモンは一回の採血では判断できない

 

ねる子は育つ、といいますが、成長ホルモンは寝ている間にたくさん出て、昼間にはあまり出ていないホルモンです。

 

growth-hormone-at-night

(ファイザー社のホームページより)

 

量が多い時と少ない時があり、変動が大きいですね。

 

ですので、昼間に1回だけ採血してもよくわからないのです。

 

たとえ夜間であっても一定に分泌されているわけではないです。

 

きっちりと評価するのはとても難しいホルモンです。

 

 

ちなみに成長ホルモンが足りないお子さんですと以下のようなイメージとなります。

成長ホルモンが足りない場合

(ファイザー社のホームページより)

夜間の成長ホルモン分泌がとても少ないですね。

 

成長ホルモンが足りない場合にはこのタイミングを狙って成長ホルモンを注射で補うことになります。

 

 

成長ホルモン分泌負荷試験

 

成長ホルモンの分泌量は普通に採血しただけでは、評価できないホルモンです。

 

そこで、成長ホルモン分泌負荷試験、という特殊な検査を行うことになります。

 

成長ホルモン分泌負荷試験とは?

 

成長ホルモンを分泌させる薬を飲み薬や注射薬で使用して、どこまで成長ホルモンが分泌されるかを見る検査です。

 

これなら、昼間に出ていないホルモンでも評価できる、と言うわけです。

 

それではどんな検査か見てみましょう。

 

検査の実際の流れ

 

検査の流れを図にしてみましたのでご覧ください。

 

成長ホルモン分泌負荷試験の流れ

 

このように、検査前に採血を行い、お薬を飲んでもらったり、注射してから30分おきに2時間採血します。

 

げー、そんなに採血するの??って思われると思いますが、そうです(笑)

 

でもご安心ください。

 

最初に柔らかい管を血管内に留置します。

 

ルートキープ

(ファイザー社の資料より)

 

あとはそこから注射も、のこりの全ての採血も行います。

 

つまり針を刺すのは最初だけです。(その代わり通常の点滴よりもすこし太めの管を入れることになります。)

 

子どもの血管ですから、細すぎたり詰まったりすると、留置針から血液が出てこなくて、刺し直しになることもたまにありますが、

 

それほど多くはありません。

 

成長ホルモン分泌負荷試験に使用する薬剤とその副作用

 

施設によって使用する薬剤は多少異なりますが、

 

クロニジン、L-DOPA、アルギニンが最もよく使われています。

 

他にもインスリンや、グルカゴン、GHRP-2なども使われます。

 

副作用とその症状が出やすい時間
  • クロニジン:眠気(60分)
  • L-DOPA:吐き気(60分)
  • アルギニン:特になし(稀にアレルギー)
  • インスリン:発汗、空腹感、腹痛(15~45分)
  • グルカゴン:発汗、空腹感、腹痛(60~120分)
  • GHRP-2:特になし

 

*インスリンやグルカゴンに関しては低血糖症状が強すぎる場合にはブドウ糖を注射します。

 

お子さんもしんどいかと思いますので、当院ではあまりインスリンやグルカゴンは使用していません。

 

他はどれも症状が出ても一時的で、ほとんど自然に収まります。

 

 

 

検査前の注意点

 

検査前日の夜10時以降は絶食でお願いします。

 

検査当日の朝も食べないでご来院ください!

 

検査結果に影響を与えますので、朝食を食べてこられた場合には検査は中止とし、予約を取り直しさせていただきます。

 

成長ホルモン分泌負荷試験の注意点

 

 

成長ホルモン分泌負荷試験の検査結果

 

成長ホルモン分泌負荷試験の結果のイメージは以下のようになります。

 

(ファイザー社の資料より)

 

はじめは低い成長ホルモンが、薬剤(飲み薬や点滴)の刺激を受けて分泌が増え、その後ベースラインに戻っていきます。

 

このピークが6ng/mlを超えた場合、「分泌正常」と判断できます。

 

逆にピークが6ng/mlを超えない場合、「成長ホルモン分泌量が少ない」ということになります。

 

 

成長ホルモン分泌が少ない場合には成長ホルモン治療ができる?

 

成長ホルモン治療を保険適応で行うためには、国の定める診断基準を満たす必要があります。

 

  • 身長が-2SD以下、または成長率が2年以上-1.5SD以下
  • 2つ以上の結果で成長ホルモンの頂値(最高値)<6ng/ml 

 

これの基準を満たせば、成長ホルモン分泌不全性低身長症、と診断でき、

 

成長ホルモン治療を(保険で)開始できます。

 

つまり、成長ホルモン治療を受けるには、最低2回以上は成長ホルモン分泌負荷試験を行う必要があります。

 

 

逆に、身長が-2SD以下(または成長率-1.5SD以下)では無い場合には、いくら成長ホルモン分泌負荷試験をしても、

 

成長ホルモン分泌不全性低身長症とはならず、成長ホルモンを保険診療で開始することはできません。

 

そこそこ大変な検査ですので、まずは

 

身長-2SD以下(または成長率-1.5SD以下)

 

であることが、

 

成長ホルモン分泌負荷試験をするかどうかを決めるうえで、重要となります。

 

 

さいごに

 

以上、成長ホルモン分泌負荷試験でした。

 

一般的な話を書きましたが、一部例外的に治療できることがあったり、もうすこし検査をしないといけない項目があったり、と

 

これが全てではありません。

 

身長の伸びが気になられる場合には、お気軽に一度ご相談にいらしてください。

 

その時点での適切な提案をさせていただきます。

 

それでは!

 

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