2021.03.28
成長ホルモンが低い?低身長の原因をしらべかた(その1)
成長ホルモンで身長が伸びるかもしれない。そんな話を聞かれた方も多いでしょう。
でも、大きい子もいれば、小さい子もいるわけで、小さいから異常とは限りません。
どれくらいで受診すればよいでしょうか?
受診された場合にどのようなことを調べるのでしょうか?
目次
まずは成長曲線をつけよう!
成長曲線と呼ばれるグラフをつけてみましょう。
ただのグラフと侮るなかれ、これでいろんなことがわかります。
診察に来ていただいた方には必ずつけていただいております。
こちらからダウンロードしていただけます。
男の子用
女の子用
さあ、ちょっと面倒ですが、頑張ってつけてみてください!
おなじ8歳でも、8歳0ヶ月と8歳11ヶ月では年齢が全く異なります。
まちがって8歳11ヶ月を8歳0ヶ月のところにつけてしまいますと、大きく意味合いが変わってしまいます。
きっちり「○ヶ月」までグラフをつけていきましょう。
1年で小さいマスが4マスありますので、1マスが3ヶ月です。
わかりにくければ受診いただければ指導させていただきます。
成長曲線のみかた
-2SDの身長を下回るなら必ず受診してください!
成長曲線でみて-2SDが正常と呼ばれる下限ラインです。
-2SDをもし下回っておられるなら、必ず受診いただきたいです。
調べたら異常は見つからず、結局身長が低いのは体質、ということもありますが、
やはり正常範囲を外れているわけですから、なにか原因がある可能性が高いです。
-2SD以上の身長でもギリギリの場合にもお気軽にご相談ください!
こういう感じで、低いながら成長曲線通りで伸びている場合には、病気ではなく体質のことも多いです。
ただ、−2SD以上あれば必ず正常というわけでもありません。
この例のように、伸びているけれども-2SDスレスレの場合には、いつ下回るかわかりません。
念のため受診はしていただいた方が良いでしょう。定期的にフォローさせていただきます。
現状の評価をしておき、検査や治療のタイミングを逃さないようにしましょう。
成長率(身長の伸び)が落ちている場合も受診してください!
この例では、赤矢印のあたりから成長率が落ちているのがわかります。
このような、成長曲線を下の線に乗り換えて落ちていくようなケースは、何か問題がある可能性も十分考えられますので、注意が必要です。
必ず受診していただきたいです。
身長の伸びが悪い原因は成長ホルモン?
成長ホルモンだけが低身長の原因とは限りません。
当院を受診していただければ、問診→診察→検査を行い、他の問題がないか、一通り確認します。
甲状腺ホルモン
成長ホルモン以外にもホルモンでは甲状腺ホルモンもとても成長、発達に大切なホルモンです。
低身長の場合には必ず調べます。
他の病気
成長ホルモン、甲状腺ホルモンなどのホルモンの他にも、低身長になりうる原因はたくさんあります。
体調が悪ければ身長や体重も伸びないです。
食物アレルギーがないか?慢性的に下痢をしていないか?
睡眠時無呼吸はないか?
喘息や鼻炎、アトピー性皮膚炎などで眠れていない、などトラブルがないか?
なにか病気があるなら、そのコントロールはきちんとついているのか?どんな薬を使っているのか?
、、、などなどたくさんのことを確認していきます。
二次性徴
二次性徴(思春期)の評価も最終身長を考える際に大切です。
思春期にはいると成長がグーンと伸びますので、思春期が来ているかどうかで大きく身長は変わります。
思春期が遅い場合(おくて)
思春期がくるのが遅い場合は、周りの子が成長スパートがきてどんどん伸びていますので、取り残されている感じになってしまいます。
みんなとの差が気になりはじめて受診されるパターンが多いです。
これは「おくて」といって、成長時期が後ろにずれているだけのことが多いです。
「おくて」であれば、様子を見ていればそのうちに二次性徴に入り追いついて行きます。
しかし、「おくて」か、と思っていたら成長ホルモンが足りていない場合もあります。
ですから、後で伸びるだろうと決めつけずに、早期に受診をしていただきたいです。
思春期が早い場合(思春期早発症)
思春期が早い場合、早くみんなよりも成長スパートが来て、すでに身長が伸びていることが多いです。
このため身長が低い、と受診される場合には、早く成長が止まってしまい最終的に低身長になってているパターンが多いです。
成長が終了して大人の体になってしまってからでは、残念ながら身長を伸ばす治療はできません。より早期の受診が必要です。
思春期が早くくる場合に関しては、思春期早発症という病気が疑われます。
こちらの記事もご覧ください!
どのような検査をするのか?
血液検査
一般的な血液検査で肝機能や腎機能をはじめとした健康状態をチェックするのはもちろん、
さらに甲状腺ホルモンや成長ホルモン分泌の程度を間接的に見るソマトメジンC(IGF-1とも呼びます)などを測定します。
思春期周辺の年齢のお子さんでしたら、これにさらに思春期のホルモンの測定も行います。
尿検査
尿検査では血尿、タンパク尿などの腎臓の病気の手がかりだけでなく、尿の濃縮なども見ることができます。
尿糖が出ていないかも重要です。糖尿病のチェックになります。これは成長ホルモン治療をする前に確認しておきたい事項にもなります。
成長ホルモンを作っている脳の下垂体というところでは、尿を濃縮するホルモンも作っています。
下垂体に障害があるとこの辺一帯がやられていることも考えられるわけです。
骨年齢
左手の骨をみることで、骨年齢を評価します。
(スタッフのお子さんの写真です。許可を得てのせています。)
骨の年齢ですので、実際の年齢とどれだけずれているか?で、身長をのびのポテンシャルを見ることができます。
正確な身長の予測は難しいですが、このまま常識的に伸びた場合には、どれくらいになりそうか?という雰囲気を見ることもできます。
思春期が早いお子さんでは骨年齢が進んでいることが多いです。思春期の進み具合を評価するのにもとても重要な検査です。
ここまでを初めの受診時に行います。
いかがでしたか?
これらの結果を見て、成長ホルモンがやはり低そうだ、成長ホルモンも検討した方が良い、という場合にはさらに踏み込んだ検査を行っていきます。
さいごに
とくに注意すべき点を記載しましたが、
ここに書いているほど身長は低くないけど、ちょっと相談してみたい、
これくらいで相談に行っても良いのかな?
と思われる方もおられるかもしれません。
そのような方もぜひご相談に来ていただければと思っています。
実際、成長ホルモン治療をしたい方はもちろん、
-1SDくらいでむちゃくちゃ低いわけじゃないけど、このままの身長で様子を見ていて良いのか?と心配な方、
あとどれくらい伸びそうか?と気になる方、
色々な方が相談にいらしてくださっております。
お気軽にお越しになって下さい!
受診時には
- これまでの成長の記録
- 成長曲線
- 母子手帳
をお忘れなく!