2020.05.03
コロナ に負けず、予防接種はスケジュール通りに!
予防接種はスケジュール通りに受けましょう。
コロナを恐れてワクチンを打たなかったために、麻疹にかかる、などはあってはならないことです。
目次
コロナウイルス流行時期の小児科学会のワクチン接種の方針
(クリックしていただくと小児科学会のページに飛びます。)
以下のように書いてあります。
予防接種についても、感染症にかかる前に接種する事が極めて重要です。
新型コロナウイルス感染症を予防するための対策も重要ですが、極端な制限によって予防できる他の重要な病気の危険性にさらされることを避ける必要があります。
今後も数か月単位での流行が想定され、その間に乳幼児健診や予防接種を回避するデメリットは大きいと考えられます。
実施にあたっては、いつも以上の配慮が必要になりますが、保護者と実施者が協力し可能な限り予定通りに実施すべきと考えます。
奈良市は集団接種ではありませんのでクリニックで接種をしていただくことになります。
当院では予防接種の枠を診察と完全にわけて設けています。
予防接種の時間は感染症の方は受診されても完全にお断りしています。
(せっかく来院いただいたのにお断りするのは大変申し訳ないのですが、みなさん納得して、通常の診療時間に出直してきていただけます。ご協力ありがとうございます。)
安心して受診していただければと思います。
ワクチンスケジュール
当院は日本小児科学会や NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会に従って行っています。
小児科学会のスケジュール
こどもを守ろうの会のスケジュール
こまかくみると微妙に表現が異なるところはありますが、ほとんど一緒です。どちらを見ていただいてもOKです。
VPDってなに?
Vaccine Preventable Disease
ワクチンで予防できる病気
のことです。
ワクチンがある病気は全部VPDです。
以下に数例をあげます。
麻疹
麻疹はとっても重篤な感染症です。
麻疹脳炎、肺炎など私も何度も診療したことがありますが、本当に怖い病気です。
いったんかかると、先進国であっても死亡率は1000人に一人と言われています。
感染力ももの凄いです。空気感染です。死にかけるのは自分だけですみません。
しかしワクチンを打っていればほとんどなりません。
ワクチンで防げる病気なのです。
風疹
風疹自体は麻疹ほど重篤になることは少ないですが、女性が妊娠中に感染すると
先天性風疹症候群とよばれる障害を引き起こします。
- 先天性心疾患
- 難聴
- 白内障
なってしまうと治すのは困難です。
ワクチンを打たないなんて考えられません。
当記事と趣旨はそれますが、当院も
- 男性の風疹クーポン
- 奈良市の風疹抗体検査(・妊娠を希望する女性 ・風しん抗体価の低い妊婦の配偶者等の同居家族 が対象)
の登録医療機関です。抗体検査をまずは受けられて、免疫があるかどうか確認しましょう!
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
おたふくかぜも、麻疹ほど重篤には普通はなりません。
しかし、
- 無菌性髄膜炎
- 膵炎
- 感音性難聴(ムンプス難聴)
- 精巣炎、卵巣炎
などの合併症を起こすことがあります。
ワクチン打っていれば難聴や不妊を防げるわけです。
残念ながら現時点では任意接種ですが、それでも打たない選択肢はないでしょう。
他にもワクチンがある病気は全部VPDですよ!
ワクチンの副作用
ワクチンの副作用を気にされる方もおられます。
健康な方へ予防で打つものですから、無害であるべきです。しかし残念ながら医療にリスクゼロはありません。
先日ほとんどワクチンを打っていない方が来られました。驚いたので理由を聞いたのですが、「副作用が怖いから」ということでした。
その方へは以下のような説明をさせていただきました。
たとえば、おたふくワクチンの副作用に髄膜炎があります。
・自然感染では約80人に1人が髄膜炎
・ワクチン接種後では、2,000~2,500人に1人
確かにワクチンにはリスクはないとは言えません。でも、どちらを選びますか?
日本のワクチン接種は自主的
日本はこのように定期接種であれば無料では接種できますが、それでも接種するかどうかは自主的なものです。接種しない人はしないで自由です。
ですので、上記のようなワクチン接種をしない人が出てきてしまうのです。
しかし、多くの海外ではワクチンを接種していなければ保育園にも入れません。
入園時にワクチン接種記録を提出させられるのです。
私の留学したカナダでも、病院に就職する時だけでなく、病院見学に行くだけでワクチン接種記録を提出させられました。
みんながワクチンを打っていたら、みんなが免疫を持っているので、その感染症がそもそも流行りにくいです。
そういう意味では、ワクチン接種は個人だけの問題ではすまないわけです。
個人的には、日本の保育園や学校等もワクチン接種履歴を確認し、打っていないお子さんは入園拒否したほうが良いと思っています。
VPDはワクチンで予防
というわけで、ワクチンで予防できる病気(VPD)はワクチンで予防しましょう。
くれぐれも自然感染で免疫をつけようと思わないでくださいね。
さいごに:はやくコロナもVPDに!
現在新型コロナウイルス流行の影響で、外出しにくい状況となってしまっています。
ワクチンを打つのも控えるお子さんが出てきており、多くの小児科医が危機感を感じています。
ワクチンは必要です。
コロナウイルスが1ヶ月で消滅するなら、それくらいは延期して良いと思いますが、残念ながら長期戦です。
スケジュール通りうちましょう!
そして、はやくコロナウイルスもVPDになってほしいですね。
研究者の方々、頑張ってください!!