2019.11.22
最終更新日: 2025年04月26日
こどもの発熱は何日続いたら注意?小児科医の目線で解説!
「熱がなかなか下がらないけど、もう少し様子を見ていいのかな…?」
「何日続いたら受診した方がいいの?」
そんな不安を感じる保護者の方も多いと思います。
もちろん、病気によって注意すべき日数は違いますが、
今回は私が診察時に**目安にしている「1・3・5日目のポイント」**についてお話しします。
目次
発熱1、3、5日目が重要
ざっくりとした目安ですが、私は診療の際に1、3、5日がチェクポイントだと考えています。
🌡 発熱1日目:「急激に悪化する病気」を見逃さない
この段階で一番大切なのは、あっという間に悪くなる病気を見逃さないことです。
たとえば:
髄膜炎
脳炎・脳症
心筋炎 など
最近はワクチンのおかげで髄膜炎はかなり減りましたが、ほかの病気は今も起こります。
ただ、こうした重い病気は初期では症状がはっきりしないこともあり、
いくら丁寧に診ても、初日は判断が難しいこともあります。
早い段階での受診は重要なわけですが、あまりに受診のタイミングが早すぎると、、、
喉が赤くなる病気なのに、まだ赤くなかったり、
咳がひどい病気なのに、咳が出ていなかったり、と言う難しさが出てきます。
また迅速検査も反応が悪く偽陰性(本当は陽性なのに、早過ぎて反応せず、陰性、とでてしまった)と言うこともあり得ます。
もちろん、そのへんも考慮して診察させていただくわけですが、難しいのも事実。
その時点でのできるかぎりの情報から暫定診断をつけて、
経過を見るのが不安な場合は、大きな病院を紹介させていただき、
経過を見てよいものは、経過観察していただく、と言う流れになります。
その後の経過で、
- 嘔吐が続く
- 痙攣する
- 意識がおかしい
- ぐったりしている
など、症状の悪化や変化があれば、繰り返し診察してもらうことが大切です。
🌡 発熱3日目:「長引くかどうかの分かれ道」
3日目に大切なこと
熱が続いている場合、インフルエンザやアデノウイルスのように強いウイルスのこともありますし、
細菌感染を起こしてきている可能性もあります。
もともとは普通のかぜでも、この辺がこじれるかどうかのターニングポイントともいえます。
診断できないウイルスもたくさん存在しますが、
きっちり診断をつけれるものはつけて、できるだけいい方向に持っていけるように治療します。
この段階では、必要に応じて:
アデノや溶連菌などの迅速検査
血液検査 なども行って診断を進めます。
🌡 発熱5日目:「入院が必要かも?」の判断が重要
5日目に大切なこと
ここまで熱が続くと、次のようなことが考えられます:
肺炎・気管支炎などの合併症
川崎病のような別の病気
ここで重要になるのは、外来で治療を続けていいのか、入院が必要かの見極めです。
きっちり治療しているにも関わらず、これくらいの熱が続いた場合には
もしかしたら外来での治療は限界かもしれません。
その場合には入院加療ができる病院を紹介させていただきます。
インフルエンザやアデノなど、熱が長いとわかっている病気に関しては、合併症がないかどうかの判断をして
大丈夫そうならもう少し外来で様子を見ることもあります。
🌡 発熱7日目以降:「もう入院での検査や治療が必要かも」
ここまでくると、何らかの合併症があるケースが多くなります。
もちろん「ただのかぜ」で長引くこともありますが、そういったケースは少数派です。
それに、かぜだったとしても、これくらい熱が続くと体力が弱ってきていますから、なかなか治りません。
この段階では入院して検査・治療を受けるのが安心です。
✍️ まとめ:1・3・5日目を目安に
大体の目安がわかっていただけましたでしょうか?
発熱日数 | 注意するポイント |
---|---|
1日目 | 急激に悪化する病気を見逃さないこと |
3日目 | 長引くかどうかの分かれ道 |
5日目 | 外来で対応可能か?入院が必要か?の判断 |
7日目以降 | 基本的には入院レベルの治療が必要なケースが多い |
病気の種類によって判断基準は変わりますが、私の考える目安がお分かりいただけましたでしょうか?
🩺 最後に:小児科医は「診察」が命!
当院では血液検査や微生物迅速検査なども使いながらしっかり早期診断、早期治療をおこなっていきます。
しかし、最も大切なのは、検査ではなく診察です。
小児科医は診察で勝負です!
パーっと聴診器当てていて「本当に聴いているの?」って思われるかもしれませんが、
ちゃんと聴いています。
一瞬で聴き終わっているということは「異常がなかった」ということです。
異常があればそこを中心にしっかり聴いたりします。
結構職人技なんですよ!