鳥と鉛筆

2019.11.20

食物アレルギーの基礎知識

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今日は食物アレルギーについて書きたいと思います。

 

食べたいものが食べれないって辛いですよね。そして辛いだけでなく、栄養のバランスが偏りますから、発育にも影響が出てきます。

 

私がアレルギーに興味を持ったのは、まだ食物負荷試験が普及していなかった若い時期に出会った症例がきっかけでした。

 

食物アレルギーとの出会い

これまでに食べ物で喘息発作が出たことがあり、血液検査したところ卵と牛乳にアレルギー反応が出たために、それ以降、お母さんは卵と牛乳を完全除去していたお子さんがおられました。

 

なんとかならないのでしょうか?と相談したくて私の外来を受診されました。

 

そのとき「この子は本当に卵も牛乳も両方食べられないのかな?」と思い、入院してもらって、試しに両方食べてもらいました。

 

入院1日目:卵を食べても全く症状なし。

入院2日目:牛乳を飲んでところ、バーっと体に蕁麻疹が出て、喘息発作が誘発されました。

アナフィラキシーでした。

 

それでこの子は、牛乳はたべてはダメだけど、卵は大丈夫だとわかりました。

 

いま思えばあらっぽい食物負荷試験でした。当時はちゃんとしたガイドラインもありませんでしたので、自己流でやりました、、、。

 

しかし

  • お母さんは「卵は食べれるんですね!」って大喜び!
  • 指導医にも「おまえいいことしたなー!」ってすごい褒めてもらえました。

これがすごく嬉しくて、以降、ずーっとアレルギーには興味を持ってやってきました。

 

さて前置きが長くなりましたが、

 

今日は食物アレルギーについて書いていきたいと思います。

 

食物アレルギーとは?

 

自分の体の免疫が、ある特定の食べ物を危険だ、敵だ、と認識してしまうことです。

 

その食べ物を触ったり食べたりすると、アレルギー反応が起こります。

それはピーナッツたった一つでも起こり得ますし、食べ物のかけらを吸い込んだだけでも起こります。

 

よくある食物アレルギーを起こす食べ物には

  • 牛乳や乳製品(アイスクリームやバター)
  • 小麦
  • 大豆
  • ピーナッツ
  • アーモンド、カシューナッツ
  • 貝類や甲殻類(えび、かに)

などがあります。

 

一つだけでなく、複数の食べ物にアレルギーを示す方もおられます。

 

食べた後に調子が悪くなっても、以下のようなものは食物アレルギーとは呼びません。

  • たまたまカゼをひいていて、卵食べた後に嘔吐した。
  • 辛い食事をして刺激で嘔吐した。

 

 

食物アレルギーの症状

 

軽いものから命に関わる重いものまで様々です。

 

軽い症状は

  • じんましん
  • ひふがあかくなる
  • 目が痒くなる、はれる
  • 鼻水、くしゃみ

などがあります。

 

重い症状はアナフィラキシーとよび

  • 喉が腫れて呼吸が苦しくなる
  • 気管支が細くなり、ゼイゼイいって、呼吸が苦しくなる
  • 嘔吐や下痢などのお腹の症状
  • 気分が悪くなったり、気絶したり

これらは放置すると死に至ります。本当に怖いです。

 

いつも同じ症状が出るとは限りません。

前は蕁麻疹だったけれど、今回は呼吸困難になるかもしれません。

 

 

食物アレルギーの検査

 

二種類の検査があります。当院でも行なっていますが、

  • 皮膚テスト:皮膚に食べ物の成分の抽出液を垂らして、小さい針でちいさな傷をつけて、そこが腫れてくるかどうかをみます。
  • 血液検査:IgEとよばれる食物に対する抗体を測定します。

当院では主に血液検査を行なっています。一度にたくさん調べることができるからです。

ただし、血液検査はあくまで参考程度にしかなりません。結局は食べてみないと分からないのです。

冒頭のエピソードのように、血液検査で反応が出ていても食べられないとは限りません。

食物の除去は「本当に症状が出る食べ物」に限定して行うべきです。

そこで

  • 食物負荷試験

というものを行います。

 

実際に食べ物を食べてみて、症状が出るのかどうかを見る検査で、結局はこれをしないと、食べれるのかどうかの判定はできません。食べてみるとアナフィラキシーを起こすリスクも十分ありますので、危険な検査です。

 

病歴から明らかにアナフィラキシーを起こしそうな場合には、入院してやってもらうのが良いです。

 

しかし、おそらく大丈夫だけど、自宅で食べるのも不安、というくらいの軽いお子さんもたくさんおられます。

そういうお子さんには当院でも負荷試験を行なっています。お気軽にご相談ください。

 

食物アレルギーの治療

 

以前は原因となっている食べ物をただ避けるしかなかったのですが、完全除去を続けると、なかなか食べられるようにならないですし、誤食した時にアナフィラキシーを起こしてしまうことがあります。

近年は(すべての食べ物で行えるわけではありませんが)食べて治していく、という考え方がひろがってきました。

たとえば卵でしたら、症状が出ないくらいの量を少しづつ食べることで、徐々に食べれる量が増えていくのです。

当院でもそのような食事指導も行なっています。

 

 

食物アレルギーの予防

 

食物アレルギーの予防法は確立されていません。

もしあなたのお子さんが、そろそろ離乳食を始めようか?という時期になると、

たまごや牛乳を与える、迷いますね。しかもご両親がアレルギーを持っていれば尚更です。

 

以前は食物アレルギーの疑いがあるお子さんは、すこし食事の開始時期をおくらせる、ということが指導されていましたが、

今は遅らせない方が良い、ということがわかっています。普通に4−6ヶ月くらいで始めてください。

 

あと、もう一つ大切なことがあります。

 

経皮感作

 

食物アレルギーは食物の成分が荒れた皮膚から侵入することで発症することがわかってきました。

(これを経皮感作といいます)

ということは、赤ちゃんの時期からしっかり皮疹の治療をしておくことで、食物アレルギー発症をおさえることができる可能性があります。

食物アレルギーの治療をする際には皮疹の治療も必要ということになります。

当院でもしっかりおこないます。

 

さいごに

 

 

食物アレルギーの患者さんは年々増えています。

以前はアレルギーの原因となっている食べ物は除去するしかなかったのですが、最近では戦略的に治していくこともできるようになってきました。

 

食べられないものが食べれるようになって喜んでいただければ、頑張って診療している甲斐があります。

 

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オンライン診療

子育て支援の一環として、当院かかりつけで「症状が安定している」患者さんを対象にオンライン診療を行なっています。