鳥と鉛筆

2024.09.08

鼻スプレー型!針を使わない・痛くない経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト®)

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今シーズンから鼻から投与する(経鼻)インフルエンザワクチン(フルミスト®)が承認され、使用可能となりました。

 

鼻スプレー型ワクチンとも呼ばれます。

当院ではインフルエンザワクチンは痛みが出にくいように、かなり注射法にはこだわっていますが、さすがにこれには敵いません。

 

これこそ痛くない注射と言えます。

 

当院でも接種できますので、是非ご検討ください。

本数に限りがありますので、早い者勝ちで、なくなり次第終了となります。
スタッフ
スタッフ

ご不明な点がおありの場合には、接種当日ではなく、必ず「事前に相談」をお願いします。

なるべくたくさんの方に接種していただくため、接種の当日は「接種する時間」しか確保していません。

(当日に相談をされますと待ち時間が大幅に増え、他の患者さんへ大変ご迷惑となりますので、接種をお断りすることがございます。)

 

鼻スプレー型のインフルエンザワクチン(フルミスト®)の特徴

鼻から投与!

注射ではなく鼻からスプレー形式で投与されるため、注射が苦手なお子さんにとって有用です。

 

0.1mlという少量のワクチン液を両方の鼻に噴射します。

 

噴霧には普通の注射用シリンジの様なものを使いますが、針はついていませんので安心してください!

 

生ワクチン

経鼻インフルエンザワクチンは生きたウイルスを弱毒化した生ワクチンです。(従来のものは不活化ワクチンです。)

 

生ワクチンは「他の生ワクチンとは接種間隔を1ヶ月以上あける」必要があります。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

ご注意ください。

 

接種間隔の確認のため母子手帳が必ず必要です。お忘れの場合接種できませんのでご注意ください!
スタッフ
スタッフ

 

1回で終了します!

注射のワクチンは13歳未満は2回接種ですが、こちらは1回で終了します。

 

はっきりとしたデータはありませんが、

 

通常、接種後2週間後から効果があり、1シーズン(約6ヶ月)効果が持続すると考えられています。

 

接種後すぐに効果が得られるわけではないため、流行が始まる前にワクチンを接種することが推奨されます。

 

対象年齢

2歳〜18歳に承認されています。

 

2歳未満、19歳以上は接種できませんのでご注意ください。

 

鼻スプレー型ワクチンの効果

鼻スプレー型ワクチンは鼻から投与しますので、本物のインフルエンザウイルスの自然な感染経路と似ています。

 

自然感染に近いため、注射のワクチンよりも免疫応答が強化される可能性がある、と期待されています。

 

特に幼児や若年者において、注射型ワクチンよりも効果が高いとされています。

 

しかし、実際にワクチン効果を比較した報告(鼻スプレー型ワクチンvs 注射ワクチン)をみると、データがばらついており、

 

どちらが優れているかはっきりしません。

 

毎年流行株が異なることも大きく影響していると思われます。

 

今後データがそろって来れば、鼻スプレー型ワクチンが優れていた、という報告が増えるかもしれませんが、

 

今のところは、鼻スプレー型ワクチンが注射ワクチンに比べてはっきりと優れているとは言えません。

 

効果は概ね同等、くらいに思っていただいた方が良いかもしれません。

 

でも痛くなくて一回で済むのは大きなメリットと言えますね。
スタッフ
スタッフ

 

鼻スプレー型ワクチンの副反応について

投与経路が異なり、生ワクチンでもあり、インフルエンザ様症状として

 

感冒様症状(鼻水、くしゃみ、発熱、頭痛など)が見られることがあります。

 

従来の注射型インフルエンザワクチンの副作用(注射部位の痛み、腫れ、軽度の発熱など)とは少々異なりますね。

 

一般的な副反応やその頻度

  • 鼻づまり、鼻水、のどの痛み

  • 軽度の発熱

  • 頭痛

  • 筋肉痛、全身の疲労感

 

一般的な副反応は軽度で一時的なものであり、数日で改善することが多いです。

 

日本人の健康小児911人を対象とした治験のデータをみてみましょう。

(フルミストインタビューフォームより抜粋)

本剤群:フルミストを接種した群 

vs

プラセボ:フルミストを接種していない群

(※数字は実際の数、(カッコ)内の数字は発生率です)

で比較して、

 

症状の発生率(カッコ内の数字)を左右をくらべて見てみましょう。

 

接種群が微妙に症状が増えていますね。

 

(たとえば、38度以上の発熱なら3.0%が5.9%に増えています。)

 

でも、咳なんか、逆に減っています。

 

まあざっくり言って、そんなに大したことはなさそうですね!

 

重篤な副反応とその頻度

重篤な副反応として以下のものがありますが、頻度は非常に稀で、1%未満の頻度とされています。

  • アレルギー反応やアナフィラキシー
  • 喘息や呼吸困難の悪化

 

接種できない方

以下に当てはまらないか?ご確認ください。

年齢が2歳未満、19歳以上

この年齢には接種は認められていません。

 

重度のアレルギー反応の既往歴があるかた

鼻スプレー型ワクチンに含まれる成分に対して重度のアレルギー反応(アナフィラキシーなど)を経験したことがある人。

 

特に卵、ゼラチンアレルギーに注意が必要です。

 

免疫不全の患者のかた

免疫の弱い病気をおもちであったり、ステロイドや免疫抑制剤を使用しているなど、

 

免疫機能が低下している場合は接種できません。

 

喘息のコントロールが悪い方

 

ワクチンに使用されている生きた弱毒化インフルエンザウイルスが、呼吸器系に影響を与えやすく、

 

喘息の悪化を引き起こすリスクがあり、先行して接種しているアメリカでは注意するように言われています。

 

発作のコントロールが良好かどうかで、接種できるかどうかの判断は分かれます。

 

ここまで書くととても怖いワクチンの様に思われるかもしれませんが、、、、

先ほど紹介した日本人健康小児911人を対象にした臨床試験をみると、

 

608人にフルミストを投与されており、そのうち47人は喘息の既往がありましたが、

 

とくに症状の悪化を認めておりません。(咳なんか逆に減っているくらいです。)

 

つまり、めちゃくちゃ注意しないといけないものでもなさそうです。

 

そのためか、実際の問診票には禁忌事項ではなく、注意事項として載っています。

 

喘息がきっちりコントロールされていれば問題ないと思われます。

 

ということで、結論

喘息でちょくちょく発作を起こしている方には「注射のワクチン」がお勧めです。

 

喘息の方で、鼻スプレー型ワクチン(フルミスト®)を接種希望のかたは、

 

事前に受診のうえ、接種可能かどうかご相談ください。

 

お子さんの状態に合わせた個別の判断が必要となります。

 

アスピリンを長期間服用しているかた

ライ症候群のリスクがあるため、アスピリンやアスピリン含有薬を長期的に服用しているかたは接種できません。

 

妊娠しているかた

妊婦さんは生ワクチンのリスクがあるため、鼻スプレー型ワクチンではなく、不活化インフルエンザワクチンの接種が推奨されます。

 

急性の病気にかかっているかた

これは鼻スプレー型ワクチンに限らずワクチン全般に言えますが

 

急性の重篤な疾患にかかっている場合、病状が安定するまでワクチン接種を延期することが推奨されます。

 

鼻水ズルズルのかた

鼻水が多すぎるとワクチンがきっちり奥まで入らず、効果が落ちる可能性があります。

 

ギャン泣きしても鼻汁でいっぱいになりますね。

 

多少は大丈夫の様ですが、あまり多いと問題です。

 

やり直しはできませんので、怖がるお子さんは確実に投与できる注射の方がおすすめです。

 

鼻スプレー型ワクチンの副反応はうつるのか?

フルミスト®により上記の様な感冒様症状が出ることがあります。

 

この症状は弱毒化されたインフルエンザウイルス自体の感染による症状というよりも、免疫応答によるものが主体であり、

 

周囲に広がる心配ないと考えられています。

 

ただ、接種後1~2週間の間に弱毒化されたウイルスを鼻や喉から排出する可能性はあります。

 

これも通常のインフルエンザウイルスよりも感染力が大幅に低く、通常は他の人に感染することはほとんどありません。

 

ただし、免疫不全のある人や重篤な健康状態にある人と密接に接触した場合、わずかに感染リスクが生じる可能性があるとも言われています。

 

周囲にこの様な方がおられる場合には注射型のワクチンをお勧めします。

 

注射で腫れるお子さんに接種可能か?

注射型インフルエンザワクチンで腫れを経験した方が鼻スプレー型ワクチンを安全に接種できるかどうかは、

 

腫れの原因や個々のアレルギー状況によります。

 

注射型ワクチンでの腫れの原因

注射型インフルエンザワクチンで腫れが生じる原因は主に以下の通りです:

局所反応

ワクチン注射部位での炎症や腫れは、多くの場合、軽度で一時的です。

 

単に注射による物理的な局所反応であれば、鼻スプレー型ワクチンは安全な代替手段となり得ます。

 

そのかわり、鼻スプレー型の場合には、鼻粘膜を刺激しますし、生ワクチンでもあり、上記の感冒様症状が出ます。

 

どちらが良いかは人それぞれでしょう。

 

成分への反応

ワクチンに含まれる成分(例えば、卵タンパク質、保存料、安定剤など)に対するアレルギー反応が原因で腫れが生じることもあります。

 

この場合、アレルギーを起こしている物質がスプレー型ワクチンに含まれているかどうかで、接種できるかどうかが変わります。

 

アレルギーがある方は事前に診察でご相談をお願いいたします。

 

鼻スプレー型ワクチンにチメロサールは含まれるのか?

注射で腫れる原因となっているチメロサールという防腐剤があります。

 

このため、当院では開院当初から「チメロサールを含まない腫れにくいワクチン」も採用しています。

 

そして、フルミスト®もチメロサールを含みません!

 

チメロサールフリーワクチンで全然腫れなくなる場合には、チメロサールが原因であるといえますので、

 

フルミスト®も大丈夫な可能性が高いです。

 

ただ、チメロサールフリーワクチンにしても少々腫れる、という場合には、チメロサール以外の原因も考えられます。

 

この場合にはフルミスト®も安全とは言えません。

 

結論:腫れる方には注射のチメロサールフリーワクチンを推奨します。

特定の成分に対するアレルギーが原因で腫れが生じている場合、その原因が完全に特定できない場合が多いですので

 

鼻スプレー型ワクチンも同様のリスクを持つ可能性があり、慎重な対応が必要と考えています。

 

鼻スプレー型ワクチンは注射ワクチンとは成分的にも別物です。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

アレルギー体質のお子さんには結局「接種してみないとわからない」となります。

 

通常、注射より吸入の方が副反応は少なそうな感じはしますが、

 

注射で極端に腫れるような、強いアレルギー体質の方は、

 

ワクチンに含まれる成分によって、注射以上に反応する可能性も否定できません。

普通の注射で腫れるお子さんにはチメロサールフリーワクチンをお勧めします。

こちらは使用経験が多く、症状の予測がつきやすいです。

 

チメロサールフリーワクチンでも腫れて接種できない様なお子さんは、

 

鼻スプレー型のワクチンが安全に接種できる保証はありません。

 

今年承認されたばかりというところもあり、当院ではこの様なケースは今年は接種しません。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

今後日本で幅広く使われた状況を見て、安全に接種できるか判断していきます。

 

さいごに

痛くなくて、1回でよくて、効果が長持ちするなんて、素晴らしいワクチンですね。

 

新しいワクチンですので、皆さんの気になるであろう副反応についてたくさん書きました。

 

注意点はありますが、おおむね安全性の高い素晴らしいワクチンと思われます。

 

上記の「接種できないリスト」に当てはまらなければ、ぜひ接種をご検討ください。

 

もちろん注射のワクチン(通常、チメロサールフリー)も従来通り行います。

 

痛くないよう頑張って打ちますので、ご予約お待ちしております!

 

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オンライン診療

子育て支援の一環として、当院かかりつけで「症状が安定している」患者さんを対象にオンライン診療を行なっています。

WEB問診

当院では受診前にWEBでの問診システムのご記入をお願いしております。
ご来院前に事前に問診をご記入いただきますと受付がスムーズとなりますので、是非ご協力ください。

    <問診記入にあたっての注意点>
  • 患者様の状態を把握するための問診です。できる限り正確にお答えください。
  • WEB問診記入後、来院時に受付に「WEB問診に回答した」旨お申し出ください。