2019.10.08
ワクチン同時接種
最近のワクチンは同時接種しますね。
本当に何本も同時に打っていいのでしょうか?
別々に打てるならその方が良いのでしょうか?
同時接種とは?
単独のワクチンを2.5cm以上離して、何本も接種することです。
4種類あれば4箇所注射します。
両うで、両太ももの4箇所でする病院が多いです。
右腕に2箇所、左腕に2箇所、と打つ病院もあります。
どちらでも良いです。
自分は確実に距離が離れているほうが打ちやすいのでできる限り腕と太ももに分けて打ちます。
同時接種と混合ワクチンは異なります。
たとえば麻疹・風疹ワクチンは混合ワクチンです。
もともと混ざっているので2種類ですが、注射は1回です。(混ぜても大丈夫なように工夫されています)
同時接種はこれとは異なります。
海外では混合ワクチンが多く、うちの子供達もカナダではまざったものを注射されました。
しかもめちゃくちゃコワイ打ち方で、、、。
日本人医師は器用ですから、じつはかなり丁寧に打ってもらえているんですよ!
まだ日本は混合ワクチンには切り替わっていないものがおおく、残念ながら混ぜて打ってはいけないので本数分注射が必要です。
同時接種でも効果は大丈夫?
免疫学的な理論では同時に100000本のワクチンが可能だそうです!
目を疑う数字ですが、いずれにせよ、10本同時に打ったくらいでは全く問題なく免疫がつくということですね。
ワクチンをうって、からだがちゃんと反応すると抗体ができるんですが、
同時に打った場合と、別々に打った場合とで、抗体のでき方には差がなかった、という研究報告もあります。
ちゃんと同時に打っても免疫はつくんですね。
同時接種って安全なの?
同時に打った場合と、別々に打った場合とで、有害事象の差を見た研究があります。
それによれば同時接種によって、
- 重篤な有害事象は増えない
- 海外では発熱や接種部位の腫れが増えたという報告も、変わらないという報告もある。
- 日本での報告では副作用に差がない
同時接種のメリット
- 新生児期に早く免疫をつけてあげることができる
- スケジュールがわかりやすい
- 受診の負担が少ない
同時接種のデメリット
有害事象(たとえば、アナフィラキシー)が起こった際に、同時に打つと、
どのワクチンが原因でおこったのかがわかりにくい
これがデメリットです。同時接種をしてはいけない子とは?
基本的にはどれを同時接種しても大丈夫です。
重い病気を持っていたとしても大丈夫です。むしろ同時接種で早く免疫をつけた方が良いです。
ただ、例外があります。
無脾症といって脾臓がないお子さんでは、肺炎球菌ワクチンと髄膜炎菌ワクチンは同時接種してはいけないとされています。髄膜炎菌ワクチンが肺炎球菌ワクチンの抗体反応を邪魔するためです。これはかなりレアなケースですね。
もうひとつは強い副反応が予想される時です。
同時接種で、つよい有害事象が出た時には、どのワクチンが原因の有害事象かわからないですから、
次は別々に打って、慎重に観察する必要があります。
同時接種じゃないとだめ?
ダメなことはありません。ご希望であれば一本ずつうたせていただきます。
ただし、不活化ワクチンは1週間、生ワクチンは4週間あけないと、つぎの接種ができないことになっています。
一本ずつうつと免疫を作るのに時間がかかるため、
特に新生児期に危険な
- 百日咳
- ヒブ、肺炎球菌による重症感染症
を予防しきれない可能性が出てきます。
そういう理由で通常は同時接種でスケジュールを組ませていただいております。
さいごに
同時接種、赤ちゃんにとっては何本も打たれるのは大変ですが、
- 病院に行く回数も少なくて済むだけでなく、
- 医学的にもメリットは大きい
です。
世界中で行われていることから、大きな有害事象はなく、安全性は問題ありません。
当院でも原則、同時接種でのワクチンスケジュールをお勧めします!
スケジュールにまよわれたらぜひご相談ください。
予約システムには予防接種の自動制御機能のついたものを導入しています。はじめの設定が面倒なのですが、そこさえ我慢していただければ、間違って打つことがなくなります。ややこしいワクチンスケジュールの管理に大変便利ですので、是非お試しください。