鳥と鉛筆

2024.08.30

がんを予防できるワクチン!子宮頸がんワクチン。シルガード9が使用可能です!

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がんって恐ろしい病気ですよね。でもそれが子宮頸がんに関してはワクチンで予防できるのです。

 

まだの方は是非接種をご検討ください!
スタッフ
スタッフ

 

はじめに

 

待望の9価ワクチン(シルガード9)が使えるようになっています!

 

ぜひ接種して救える命を救いましょう!

 

ご心配な方も多いでしょうから、このページの後半では副反応についても詳しく記載しています。

 

ちょっと長いですが、興味のある方はご一読ください!

 

子宮頸がんワクチン啓発

 

 

子宮頸がんとは?

 

以前は40〜50代に多い病気でしたが、最近は20〜30代の若い女性に多く、国内では毎年約1万人がかかり、約2900人が死亡しています。

 

また2000年以降も患者数、死亡率共に上昇しています。

 

子宮がんの治療成績はよくなってきていますが、幸いに命が助かったとしても、まだまだ手術による後遺症などで苦しむ患者さんも多いです。

 

子宮頸がんの原因:ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

子宮頸がんの原因はほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)とよばれるウイルス感染です。

 

HPVウイルスは代表的な性感染症で、性的接触によって感染します。

 

性感染症というとあまり身近に感じない方も多いと思いますが、生涯に80%の人が感染を経験するとも言われる、ごくありふれたウイルスです。

 

感染しても全員が子宮頸がんになるわけではなく、90%は自然治癒します。

 

しかし残りの10%は感染が続き、ゆっくり数年から数十年で子宮頸がんへと進行していきます。

 

HPVウイルスの種類

 

HPVウイルスには高リスク型(16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型など)が約15種類、低リスク型(6型、11型など)があります。

 

そのうち子宮頸がんの原因となっているのは16型が約50%、18型が約20%とされています。

 

しかも16型は他の型にくらべて5倍以上がん化するといわれています。

 

 

子宮頸がんワクチン

 

ここまで読んでいただければお分かりでしょう。

 

子宮頸がんを予防するには、ヒトパピトーマウイルス(HPV)にかからなければ良いのです。

 

HPVに感染しないためには、ワクチンを接種すれば良いです。

 

現在サーバリックス、ガーダシル、シルガード9という3種類のワクチンが日本で接種可能です。

サーバリックスはHPV16型、18型

ガーダシルはHPV6型、11型、16型、18型

シルガード9はHPV6型、11型、16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型

を含んでいます。

 

シルガード9:新しい子宮頸がんワクチン

海外では先行して使用されていた、9価HPVワクチン(シルガード9)ですが、

 

日本でも2020年7月21日に承認、2021年2月より発売されました。

 

そして、子宮頸がんのワクチンの副反応の調査結果が出て、厚労省も接種を推奨するようになるとほぼ同時期に、

 

2023年4月より定期接種で使用可能となりました!

 

従来のガーダシルの4つのHPV型に加えて、さらに31型、33型、45型、52型、58型を加えた9つのウイルス型を含んでいます。

 

ガーダシルで子宮頸がんの約70%を予防できるとされていましたが、

 

シルガード9はアジア人に特に感染が多く見られるHPV52/58型を含むため、原因HPVの90%をカバーします。

 

すごい数字ですね。女子はぜひ接種したいところです。

 

 

男子には承認されておりませんので、希望者は任意接種(自費)でガーダシルを接種することになります。

 

子宮頸がんワクチンの効果

 

全体で見て、これまで50〜70%の子宮頸がんを予防できると言われていしたが、シルガード9の登場で約9割を予防できるとされる様になりました。

 

残念ながらすでにHPVウイルスに罹っていた場合には、その既感染した型のウイルスへの予防効果はありません。

 

つまり初交前の女性への接種が特に効果的ということが言えます

 

しかし、初交後でも、HPVに感染しているかどうかはわかりませんし、

 

ある型には感染したとしても、感染していない型には予防効果があります。

 

たとえば、すでに18型に感染していても、ワクチンにより16型を予防することができます。

 

つまり初交後でもワクチン接種が推奨されます。

 

厚生労働省の推計では

 

10万人あたり859~595人が子宮頸がんになることを回避できる

10万人あたり209〜144人が子宮頸がんによる死亡を回避できる

 

とされています。

 

 

子宮頸がんワクチンは定期接種!

 

子宮頸がんワクチンは2013年から定期接種です。

 

つまり公費負担(自己負担なし)で接種することができます。

 

 

対象者は小学校6年生から高校一年生相当の女子です。

 

奈良市では中学に入ったら順次お知らせのハガキが届くようになっています。

 

接種間隔を空ける必要もありますから、あまりギリギリになると忙しかったり、体調不良等の理由で接種できなくなったりもします。

 

当院としては中学生の間に接種の開始を推奨しています。

 

シルガード9の接種スケジュール

9〜14歳:2回接種

15歳〜:3回接種

 

と年齢で分かれています。

 

(MSD製薬のウェブサイトより転載)

 

15歳〜:3回接種

 

標準接種スケジュールは合計3回接種(0、2、6ヶ月)です。

  • 初回
  • 2回目は初回接種の2ヶ月後(少なくとも1回目から1ヶ月以上あける)
  • 3回目は初回接種の6ヶ月後(少なくとも2回目接種から3ヶ月以上あける)

 

9〜14歳:2回接種

9歳以上15歳未満の女性は、合計2回接種と3回接種を比較した場合に効果が変わらなかったため、

 

初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができます。

  • 初回
  • 2回目は初回接種の6~12ヶ月後

 

シルガード9は筋肉注射です!

シルガード9は筋肉注射です。

 

コロナワクチンのように、肩に接種します。

 

肩がしっかり出して接種します。

 

接種しやすい服装でご来院ください。

 

子宮頸がんワクチンの問題点:24の症状

子宮頸がんワクチンはしばらくの間、積極的接種が中止されていたために接種率が非常に低かったのです。

 

なぜこれほど重要で効果的なワクチンの接種率が悪かったのでしょうか?

 

それはシルガード9が出てくる前に接種されていた

 

ガーダシルやサーバリックスの接種後に報告された多彩な副作用にあります。

 

24項目の症状と言われる症状が報告されています

  • 月経不順
  • 月経量の異常
  • 関節や体がむくむ
  • ひどく頭が痛い
  • からだがだるい
  • すぐ疲れる
  • 集中できない
  • 視野の異常
  • 光を異常に眩しく感じる
  • 視力が急に低下した
  • めまいがする
  • 足が冷たい
  • なかなか眠れない
  • 異常に長く寝てしまう
  • 皮膚が荒れてきた
  • 過呼吸
  • 物覚えが悪くなった
  • 簡単な計算ができなくなった
  • 簡単な漢字が思い出せなくなった
  • 身体が自分の意思に反して動く
  • 普通に歩けなくなった
  • 杖や車椅子が必要になった
  • 突然力が抜ける
  • 手や足に力が入りにくい

 

これらの報告により、平成25年(2013年)から厚生労働省の勧告により積極的接種を差し控える状況となっておりました。

 

 

子宮頸がんワクチンの安全性の検討:安全性に問題なし!?

 

海外で大丈夫でも日本人にはダメ、ということもあり得ますから、日本での研究が重要となりますよね。

 

積極的接種が差し控えられている中、様々な研究が行われていました。

 

これらの報告された症状がHPVワクチンの副作用なのか?どうなのか?を検証した代表的な研究として以下が有名です。

 

 

厚生労働省研究班(祖父江班)の全国疫学調査

 

祖父江班の全国疫学調査が有名です。

 

HPVワクチン接種歴のない女子でも、「多様な症状」を呈する人が一定数(12〜18歳女子では10万人あたり20.4人)存在することが示され、

 

「多様な症状」がHPVワクチン接種後に特有の症状ではないとしています。

 

 

名古屋study

 

名古屋Studyという研究も有名です。

 

名古屋市における女性7万人を対象にしたこの研究によれば、これらの24症状はHPVワクチンを接種した女子とそうでない女子を比較したところ、

 

特に差はみられず、HPVワクチンと症状の関連性、因果関係は証明されませんでした。

 

ワクチンを接種していなくてもこの様な症状が報告されたということです。

 

 

研究結果を踏まえて

 

思春期は男子、女子にかかわらず、いろいろ不定愁訴の多い年齢です。

 

普通の採血でも気分悪くなって倒れるお子さんは結構おられるものです。

 

研究結果からは、このような24の症状はワクチンとは関係ないという結果が出ました。

 

研究で大丈夫だから100%大丈夫!

 

ということは言えませんが、大丈夫な可能性が非常に高いといえます。

 

あとはメリット(ベネフィット)とデメリットを天秤にかけてどっちが得か、ということになります。

 

海外で普通に接種していて効果を上げているワクチンを、日本だけが接種していないのはおかしいですよね。

 

安全性の検証のために一時的に接種を差し控えていましたが、これらの研究結果が出てきていることもあり、

 

現在、厚労省も姿勢を変えて、積極的に接種を推奨しています。

 

有名人ではホリエモンこと堀江貴文さんもHPVワクチンを接種されたことはよく知られていますね?

(ちなみに2020年12月にガーダシルの添付文書上の適応に男性も追加され、男性も接種しやすくなりました。)

 

シルガード9は新しいワクチンだからこの話は関係ない話なんじゃないの?と思われるかもしれませんが

 

ガーダシルの副作用が怖いからシルガード9をうつ方が良い、というほど話は単純ではありません。

 

シルガード9は完全に別物というわけではなく、「ガーダシル+α」といった感じです。

 

ガーダシルにある副作用はシルガード9にもある、と思っておいた方が良いです
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

やはりリスクとベネフィットを考えたうえで接種するのが良いとは思われます。

 

基礎疾患がある方や、注射が非常に不安な方などは、まずは主治医に相談しましょう。

 

キャッチアップ接種について

 

しばらく接種を控える状況でしたので、その間に打てなかったお子さんのために

 

キャッチアップ接種という制度が設けられています。

 

しかし、それももう終盤で、2024年度で終了となります。

 

まだの方はお早めに!

キャッチアップ接種については

過去のブログもご参照ください。

 

 

さいごに

 

ワクチンを受けてがんが予防できるっていうのはすごいことですね。

 

がんを予防できるのに接種しないなんてもったいないです。

 

シルガード9も安全に使用が広がることを期待します。

 

しかしワクチンで100%防げるわけでもありません。

 

産婦人科で定期的に子宮がん検診を受けていただき、早期発見・早期治療するのが良いでしょう。

 

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