鳥と鉛筆

2021.01.30

がんを予防できるワクチン!子宮頸がんワクチン。新しくシルガード9も発売決定!

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がんって恐ろしい病気ですよね。でもそれが子宮頸がんに関してはワクチンで予防できるのです。

 

接種がまだの方はぜひ御一読ください。

 

結論としては、とくに現在中学3年生や高校1年生の女子は公費で接種可能なガーダシル接種をお勧めします。

 

シルガード9がもうすぐ発売されます。中学3年生未満の世代は、シルガード9が公費に入ってくるのかどうか様子を見るのも良いでしょう。

 

予防効果はこちらのほうが高いですので、どの世代の女子でも、自費でも良い方はシルガード9が良いでしょう。

 

もちろん当院でも接種可能です。

 

ぜひ接種して救える命を救いましょう!

 

 

 

 

子宮頸がんとは?

 

子宮がんの7割を占めると言われているがんで、以前は40〜50代に多い病気でしたが、最近は20〜30代の若い女性に多く、国内では毎年1.1万人がかかり、約2800人が死亡しています。

 

また2000年以降も患者数、死亡率共に上昇しています。

 

子宮がんの治療成績はよくなってきていますが、幸いに命が助かったとしても、まだまだ手術による後遺症などで苦しむ患者さんも多いです。

 

 

子宮頸がんの原因:ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

子宮頸がんの原因はほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)とよばれるウイルス感染です。

 

HPVウイルスは代表的な性感染症で、性的接触によって感染します。

 

性感染症というとあまり身近に感じない方も多いと思いますが、生涯に80%の人が感染を経験するとも言われる、ごくありふれたウイルスです。

 

感染しても全員が子宮頸がんになるわけではなく、90%は自然治癒します。しかし残りの10%は感染が続き、ゆっくり数年から数十年で子宮頸がんへと進行していきます。

 

 

HPVウイルスの種類

 

HPVウイルスには高リスク型(16型、18型、31型、33型、45型、52型、58型など)が約15種類、低リスク型(6型、11型など)があります。

 

そのうち子宮頸がんの原因となっているのは16型が約50%、18型が約20%とされています。

 

しかも16型は他の型にくらべて5倍以上がん化するといわれています。

 

 

子宮頸がんワクチン

 

ここまで読んでいただければお分かりでしょう。

 

子宮頸がんを予防するには、ヒトパピトーマウイルス(HPV)にかからなければ良いのです。

 

HPVに感染しないためには、ワクチンを接種すれば良いということになります。

 

現在サーバリックスとガーダシルという二種類のワクチンが日本で接種可能です。

 

サーバリックスはHPV16型、18型

ガーダシルはHPV6型、11型、16型、18型

 

を含んでいます。

 

 

子宮頸がんワクチンの効果

 

全体で見て、50〜70%の子宮頸がんを予防できると言われています。

 

海外の報告では

  • ワクチン型HPVが77.9%減少した
  • 子宮がんの前段階である子宮頸部異形成が51%減少した

と報告されています。

 

ワクチンに含まれる型に感染していなければ、その型に関しては、ほぼ100%子宮頸がんを予防できます。すごいですね。

 

すでにHPVウイルスに罹っていた場合には、残念ながらその型への予防効果はありません。

 

ですので初交前の女性への接種が特に効果的ということが言えます。

 

しかし、初交後でも、HPVに感染しているかどうかはわかりませんし、ある型には感染したとしても、感染していない型には予防効果があります。

 

たとえば、すでに18型に感染していても、ワクチンにより16型を予防することができます。

 

つまり初交後でもワクチン接種が推奨されます。

 

厚生労働省の推計では

 

10万人あたり859~595人が子宮頸がんになることを回避できる

10万人あたり209〜144人が子宮頸がんによる死亡を回避できる

 

とされています。

 

 

子宮頸がんワクチンは定期接種!

 

子宮頸がんワクチンは2013年から定期接種です。

 

つまり公費負担(自己負担なし)で接種することができます。

 

 

対象者は小学校6年生から高校一年生相当の女子です。

 

でも、現在積極的接種が中止されているために、接種率が非常に低いのです。なぜこんなことになったのでしょうか?

 

 

子宮頸がんワクチンの問題点:24の症状

 

なぜこれほど重要で効果的なワクチンの接種率が悪いのでしょうか?

 

それは接種後に報告された多彩な副作用にあります。

 

24項目の症状と言われる症状が報告されています

  • 月経不順
  • 月経量の異常
  • 関節や体がむくむ
  • ひどく頭が痛い
  • からだがだるい
  • すぐ疲れる
  • 集中できない
  • 視野の異常
  • 光を異常に眩しく感じる
  • 視力が急に低下した
  • めまいがする
  • 足が冷たい
  • なかなか眠れない
  • 異常に長く寝てしまう
  • 皮膚が荒れてきた
  • 過呼吸
  • 物覚えが悪くなった
  • 簡単な計算ができなくなった
  • 簡単な漢字が思い出せなくなった
  • 身体が自分の意思に反して動く
  • 普通に歩けなくなった
  • 杖や車椅子が必要になった
  • 突然力が抜ける
  • 手や足に力が入りにくい

 

これらの報告により、平成25年(2013年)から厚生労働省の勧告により積極的接種を差し控える状況となっておりました。

 

 

子宮頸がんワクチンの安全性の検討:安全性に問題なし!?

 

海外で大丈夫でも日本人にはダメ、ということもあり得ますから、日本での研究が重要となりますよね。

 

積極的接種が差し控えられている中、様々な研究が行われていました。

 

これらの報告された症状がHPVワクチンの副作用なのか?どうなのか?を検証した代表的な研究として以下が有名です。

 

 

厚生労働省研究班(祖父江班)の全国疫学調査

 

祖父江班の全国疫学調査が有名です。

 

HPVワクチン接種歴のない女子でも、「多様な症状」を呈する人が一定数(12〜18歳女子では10万人あたり20.4人)存在することが示され、

 

「多様な症状」がHPVワクチン接種後に特有の症状ではないとしています。

 

 

名古屋study

 

名古屋Studyという研究も有名です。

 

名古屋市における女性7万人を対象にしたこの研究によれば、これらの24症状はHPVワクチンを接種した女子とそうでない女子を比較したところ、

 

特に差はみられず、HPVワクチンと症状の関連性、因果関係は証明されませんでした。

 

ワクチンを接種していなくてもこの様な症状が報告されたということです。

 

 

研究結果を踏まえて

 

思春期は男子、女子にかかわらず、いろいろ不定愁訴の多い年齢ですから、このような24の症状はワクチンとは関係ないという結果です。

 

海外の研究でも因果関係は否定されています。

 

研究で大丈夫だから100%大丈夫!

 

ということは言えませんが、大丈夫な可能性が非常に高いといえます。

 

あとはメリット(ベネフィット)とデメリットを天秤にかけてどっちが得か、ということになります。

 

海外で普通に接種していて効果を上げているワクチンを、日本だけが接種していないのはおかしいですよね。

 

安全性の検証のために一時的に接種を差し控えるのは必要なことですが、これらの研究結果が出てきていることもあり、

 

現在は積極的に接種を推奨する流れに向かいつつあります。

 

 

結局HPVワクチン接種は得か?

 

ほぼほぼ大丈夫な副作用を許容すれば、子宮頸がんになるリスクが大幅に減るわけで、日本産婦人科学会、日本小児科学会なども接種を推奨しています。

 

有名人ではホリエモンこと堀江貴文さんもHPVワクチンを接種されたことはよく知られていますね?

(ちなみに2020年12月にガーダシルの添付文書上の適応に男性も追加され、男性も接種しやすくなりました。)

 

Dr. SHIDA
Dr. SHIDA
私もワクチンを接種した方がリスクよりもメリット・ベネフィットが圧倒的に大きいと思っています。

 

最近になって、厚労省も積極的接種ではありませんが、接種していないお子さんへ情報提供を開始しました。

 

これに伴い奈良市では

 

高校1年相当女子(平成16年4月2日~平成17年4月1日生まれ)の家庭に

  • 保護者への案内文
  • 子宮頸がんワクチンのリーフレット

が郵送されています。

 

 

当院のHPVワクチン:ガーダシル

 

当院では現時点ではガーダシルという4価のワクチンを採用しています。

 

 

 

ガーダシルの接種スケジュール

 

標準接種スケジュールは合計3回接種(0、2、6ヶ月)です。

 

(MSD製薬のウェブサイトより転載)

  • 初回
  • 2回目は初回接種の2ヶ月後
  • 3回目は初回接種の6ヶ月後(2回目接種の4ヶ月後)

 

*3回でしっかりとした免疫がつきます。必ず3回接種しましょう。

 

 

当院の接種スタンス

 

当院としてはHPVワクチン接種をお勧めしております。

 

ただ、上記の疑わしい症状がある方は接種により悪化する可能性は100%否定できません。

接種するメリットがあるかどうかよく考えての接種をお願いいたします。

 

 

また、いつかはわかりませんが、将来的には新しい9価ワクチン(後述)が定期接種に組み込まれてくる可能性が高いです。

 

公費負担となるのは高校1年生までです。これを過ぎると任意接種(自費)となってしまいます。

 

今年度に高校1年相当の方は定期接種対象年齢期間が令和3年3月31日までとなり、接種開始時期によっては期間内に接種が完了しない場合もあります。

令和3年3月31日以降に残りの回数を接種する場合は対象年齢外のため任意接種となります。

 

自費で接種すると結構高額のワクチン(3回の合計で4〜5万円くらいかかります。)ですので、この世代は接種を検討いただくと良いでしょう。

 

まだ時間的に余裕がある世代は、新しい9価ワクチンに変更になる可能性もありますので、もうすこし様子を見ても良いと思います。

 

 

シルガード9:新しい子宮頸がんワクチン

 

海外ではすでに先を行っており、9価HPVワクチンが公費で接種されています。90%以上の子宮頸がんを予防すると言われており、日本でも2020年7月21日に承認されています。

 

日本ではシルガード9という名前で使用される予定です(発売予定は2021年2月24日となりました。まだ発売決定されたばかりで、今後の動向に注目です。)。

 

ガーダシルの4つのHPV型に加えて、さらに31型、33型、45型、52型、58型を加えた9つのウイルス型を含んでいます。

 

アジア人に特に感染が多く見られるHPV52/58型を含むため、原因HPVの90%をカバーします。

 

すごい数字ですね。女子はぜひ接種したいところです。

 

ただ、新しいワクチンということですが、完全に別物というわけではなく、「ガーダシル+α」といった感じです。

 

臨床試験では安全性には問題ないようですが、ガーダシルの副作用が怖いからシルガード9をうつ方が良い、というほど話は単純でもありません。

 

やはりリスクとベネフィットを考えたうえで接種するのが良いとは思われます。(ベネフィットが明らかに高いと思いますが)

 

そんなわけで、どうせうつならシルガード9とは思いますが、現状ではまだ公費接種には組み込まれておりません。

 

しばらく希望者に接種して安全性を確認してからの定期接種の組み込みとなると思われます。

 

すぐに定期接種にならないのは当然ではありますが、はやく無料で接種できるようになってほしいですね。

 

 

さいごに

 

ワクチンを受けてがんが予防できるっていうのはすごいことですね。

 

がんを予防できるのに接種しないなんてもったいないです。

 

シルガード9も安全に使用が広がることを期待します。

 

しかしワクチンで100%防げるわけでもありません。

 

産婦人科で定期的に子宮がん検診を受けていただき、早期発見・早期治療するのが良いでしょう。

 

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