2020.06.14
赤ちゃんのマスク着用について
新型コロナウイルス感染症が流行してからというのも、
マスクはお子さんでも必須となっておりました。
当院としましても、行政指導に従って、院内では原則マスク着用をお願いしておりました。
(うちにもようやくアベノマスク届きました!)
しかし実際のところ
ちいさいお子さんは
- 嫌がる
- サイズが合わない
など、きちんとつけることはできないですよね。
マスクのメリットもあるものの、息苦しくさせてしまうなどの問題点もあります。
かといって院内でクラスターを発生させるわけにはいかないし、どうしたものかと思っていました。
さて、そんななか、
日本小児科学会から、赤ちゃんのマスクについての提言が出ましたので、紹介させていただきます。
目次
赤ちゃんのマスク着用に関する日本小児科学会の提言
原文はこちらをご覧ください。(小児科学会のページに飛びます)
以下、抜粋しながら説明させていただきます。
赤ちゃんへのマスクのデメリット
感染拡大予防の効果が限定的
マスクのメリットは明らかです。
ただ、それはきちんと着用できてのこと。
赤ちゃんにはなかなか難しいと言えます。
とすると、肝心の感染の広がりをしっかりと予防することはできない、ということになります。
そうはいってもデメリットがなければ、マスク着用すれば良いのですが、そういうわけでもありません。
マスク着用で起こる危険
大人でしたら、苦しければ、暑ければ外す、ということができますが、
赤ちゃんは自分で外すことができません。
このため、以下のようなことが指摘されてています。
・呼吸が苦しくなり、窒息の危険がある。
・嘔吐した場合にも、窒息する可能性がある。
・熱がこもり、熱中症のリスクが高まる。
・顔色、呼吸の状態など体調異変の発見が遅れる。
2歳未満は通常、マスク着用の必要はなし!
では、何歳から着用すれば良いのでしょうか?
米国疾病予防管理センター(CDC):赤ちゃんや2歳未満の子どもには、窒息のおそれがあるため、顔を覆う布(マスク)を使用しないでください。
米国小児科学会 (AAP):2歳未満の子どもには顔を覆う布(マスク)を使用しないでください。
という勧告が出ており、
上記のような危険は2歳未満で高まるとされています。
つまり、2歳未満の赤ちゃんは、日常生活ではマスクは使用しない方が良い、ということになります。
子供のマスク着用は大人の注意が必要
2歳を越えればマスクのリスクはないのか?といわれたらそんなことはありません。
あくまでわかりやすい基準として2歳、とされているだけで、
2歳を超えても、小さいお子さんのマスク着用は大人の管理のもとに行われるべきでしょう。
大きいお子さんでも、N95マスクをして運動して亡くなった、なんていう事件も中国でありました。
マスクでそんなことにならないよう、注意したいですね。
感染対策はマスクだけではない
これは年齢に限った話ではありませんが、
誰もいない山道でマスクなんか必要ないわけで、何でもかんでもマスク、というのは意味がなく、状況に応じて適切に、ということです。
目的はマスクをすることではなく、感染拡大を防ぐことです。
保護者とともに集団との3密(密閉、密集、密接)を避ける。
人との距離(ソーシャル・ディスタンス)を保つ。
まめに手指の消毒する。
なども大切です。
当院でのマスク着用のお願い
上記で説明させていただいてた基準は、一般的な生活での話です。
院内では、これらの基準よりはやや厳しくせざるを得ません。
以下、当院での院内でのマスク着用に関する対応です。
院内では2歳以上は可能な限りマスク着用
2歳超えると、余計にマスクを嫌がってつけない、とかはあります。
よくわかります(笑)
しかし、院内でコンコン咳をされてしまうと、やはりクラスター発生の懸念が出てきます。
コロナウイルスはいなくなったわけではありません。ワクチンや治療薬ができるまでは安心できることはありません。
院内での感染予防にご協力いただきたいと思います。
院内という空間限定で、短時間のみの話です。
ぜひ院内ではマスク着用にご協力ください。
さいごに
幸いに、子どもはコロナウイルスで重症化しにくいようです。
小児科医としてはそこはホッとしています。
しかし、小児からクラスターが発生する可能性はあります。
気を緩めずに、
- 院内でクラスターを発生させないように、
- 皆様がお互いに気持ちよく受診していただけますように、
ご協力をお願いいたします
受診された際にマスクをお忘れの方のために、販売はさせていただいております。
しかし、数に限りもございますので、可能な限りご自身のものを持参いただけますと幸いです。
皆で力を合わせてコロナウイルスを乗り越えていきましょう!