2020.02.19
最終更新日: 2025年05月09日
【小児のアレルギー性鼻炎・花粉症】当院での舌下免疫療法の進め方とフォロー体制
目次
はじめに
抗アレルギー剤などの薬による対症療法はアレルギー性鼻炎の基本治療です。
花粉症の薬物治療についてはこちらをご覧ください。
ただ、
- 「毎年の薬にうんざりしている」
- 「根本的にアレルギー体質を改善したい」
という方には、
舌下免疫療法が有力な選択肢です。
この記事では、当院での舌下免疫療法の具体的な進め方やフォロー体制について詳しくご説明します。
舌下免疫療法とは?
スギ花粉やダニなどのアレルゲンを、少量ずつ体に慣れさせていくことで、
アレルギー反応そのものを起こしにくい体質に改善する治療法です。
治療期間は数年単位と長期にわたりますが、
自宅で毎日服用可能
治療終了後も効果が持続しやすい
という特徴があります。
約8割の方が「効果を実感」しており、うち約2割は「ほぼ症状がなくなる」まで改善するとされています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
🏥 当院での治療の流れ
1. 初回診察(適応の確認)
花粉症やアレルギー性鼻炎の診断を問診・診察で確認
必要があれば、血液検査(スギ・ダニIgE)を実施
気管支喘息・アトピー性皮膚炎など他のアレルギー疾患がある方は、症状コントロールが必要です
※喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー等が重症の場合や、治療リスクが高いと判断した場合は、連携病院をご紹介します。
2. 結果説明・治療方針の相談(2回目診察)
アレルゲン(スギ・ダニ)が陽性で、適応があれば治療方針をご説明
期待できる効果や治療期間、リスク、治療のすすめ方等を丁寧にご説明
初回投与用の薬を処方します(自宅で使用せず、次回受診時に持参いただきます)
- 初回投与の日程を決定します
3. 初回投与試験(3回目診察)
- 同意書記入
クリニック内でご家族・ご本人に薬を投与していただきます
投与後30分間は院内で待機し、安全性を確認
問題がなければ帰宅し、翌日から自宅で継続開始
<補足>
スギもダニも、どちらもアレルギーの原因物質(アレルゲン)を体に投与する治療です。
実際にアレルギーがあって症状がつよくて困っているる人に、原因となっているアレルゲンを入れるのですから、
何らか症状は出て当然です。
通常は唇の腫れや喉の痒みなどの軽微なものが多いですが、強い症状が出る可能性もゼロではありません。
アナフィラキシーについてはこちら。
みなさん午後をご希望されることが多く、対応はしておりますが、
副反応対応の観点から、できれば平日午前の早い時間の受診が望ましいです。
30分たって問題なければ、帰宅可能です。
翌日から自宅で、ご自身で薬を続けていただきます。
📅 治療開始後のフォロー体制
はじめの1ヶ月は週1回の通院
投与方法の確認、副作用の有無をチェック
投与量を段階的に増やしていきます
副反応が出やすい時期なので、しっかりフォロー
1ヶ月以降は月1回の通院
副反応が安定すれば月1回のペースに
治療効果や体調に応じて採血や調整を行います
IgE値の推移を見ることで効果の可視化も可能
💻 オンライン診療について
当院では、1年以上症状が安定している方に対して、ご来院が難しい場合は、 オンライン診療によるフォローも導入しています。
原則:対面診療が基本
条件:3ヶ月に1回は必ず対面診察
形式:診察後に処方箋を薬局へFAX(後日原本郵送)
長期治療の中で「治療を止めない」ための補助的な手段としてご利用ください。
なぜフォローが大事?
舌下免疫療法は、全身に作用する免疫療法であり、
鼻の粘膜だけでなく、全身のアレルギー反応に影響を与えます。
だからこそ、
副作用の早期発見
効果の可視化とモニタリング
不安や疑問の解消
といったきめ細かなサポートが重要です。
当院では、定期診察はもちろん必要に応じて採血等を行い、 治療効果の経過も丁寧に追っていきます。
さいごに
当院では 小児科・アレルギー専門医としての視点から、安心・安全に続けられる治療体制を整えています。
舌下免疫療法は、アレルギー性鼻炎だけでなく、
将来的な喘息やアトピーのリスクを抑える可能性もある「未来志向の治療」です。
「体質から改善したい」
「花粉症を根本的に治したい」
と思われている方は、 ぜひ一度ご相談ください。
それではご来院お待ちしております!