2019.11.18
花粉症対策以上!舌下免疫療法の紹介
今日は最近話題の舌下免疫療法について書きたいと思います。
舌下免疫療法は
- アレルギー性鼻炎
- アレルギー性鼻炎を合併している喘息
の方に有効です。
とくにスギ花粉への治療はかなり有効な印象です。
目次
舌下免疫療法とは?
アレルゲン免疫療法はこれまで皮下注射で行われており、アレルギー性鼻炎や喘息に対して効果が認められていました。
しかし皮下注射ですから
- クリニックに行かないとできない
- アナフィラキシーのリスクがある(200人にひとりの割合)
- 注射の痛みがある
ということで、お子さんに行いやすい治療とは言えませんでした。
これに代わる治療法として舌下免疫療法が開発されました。
こちらがその薬です。
これはうちの子どもが実際に使用しているものの写真です。
アレルゲンの物質が唾液ですーっと溶ける錠剤に入っています。
これを舌の下に入れて1分間待って、その後ごくんと飲み込むだけでよい治療法です
初めは大人のみにしか認められていない治療でしたが、
ダニに対する治療薬が2018年2月、スギ花粉の治療薬が2018年6月に子どもにも承認されて、使えるようになりました。
さらに、新薬は一年間は2週間分しか処方できない『しばり』があって、これまでは患者さんへの来院の負担が大きかったのですが、ついにその制限もなくなりました。
ますます使いやすくなりましたよ。
舌下免疫療法のメリット
体質改善する治療
ステロイド薬やアレルギー剤のように症状を押さえ込む薬ではなく、体質を変えて根本から治していく画期的な治療法です。
抗アレルギー剤は飲むのをやめると効果が消えますが、舌下免疫療法をすると、やめた後も効果が続くのです。
約8割の方に有効といわれています。
特にスギはよく効く印象です。
ダニはなかなか完全にスッキリする方は少ないですが、それでも抗アレルギー剤や点鼻を減らせた、症状はあるけどマシ、という方が多いです。
現在日本での適応はアレルギー性鼻炎限られていますが、鼻炎にしか効かないわけではありません。一番効果が期待できるのは鼻炎なのですが、そのほかにも
気管支喘息にも効く
喘息にも効くことがわかっています。
他にも以下のようなことが期待されています。
- 喘息の発症予防ができる可能性
楽しみですね。
アトピー性皮膚炎にも効くかも?
さらに、専門学会でもアトピー性皮膚炎が舌下免疫で改善したとの報告もありました。
現時点では、まだ、効果は確実に証明されているものではありません。
しかし、全身に効かせる免疫療法ですから、鼻の粘膜だけに効くわけではないのは当然です。
効果が証明されるのが期待されます。
皮下免疫療法に比較しての舌下免疫療法のメリット
ダニやスギが原因であれば、どのアレルギー疾患にも効く可能性があるわけです。
これらの舌下免疫療法のメリットは皮下注射の免疫療法と変わらないのですが、
さらに舌下免疫療法では、皮下注射で行うよりもいくつかのメリットがあります。
- 自宅でできる
- 痛くない
- 副作用が少ない
効果が出るのはすこし皮下注射よりも遅いのですが、これだけメリットがあれば皮下注射より舌下を好む人が多いでしょう。
舌下免疫療法のデメリット
デメリットは以下の通りです
- 全ての人に効くわけではない
- 治療が長期に渡る
- 治療できるアレルゲンがスギとダニに限られる
100%効くわけではない
約8割の方に有効です。逆にいうと、残りの2割の人にはあまり効果がないということです。
8割に効くのでかなりいい方かと思いますが、長期の治療なので、使ってみて結局効かなかったっていうのは残念ですよね。
検査や診察で、効かない2割の人が事前にわかれば、確実に効く人だけに使えるのですが、、、
残念ながらまだその方法はありません。
治療期間が長い
治療期間が長いのもデメリットといえるでしょう。ただ、抗アレルギー剤を飲んだり点鼻したりということを考えると許容範囲と言っていただける方が多いです。
おすすめの治療期間はダニが3年、スギは5年
と考えています。
普通は3−4ヶ月したら効果が出てきます。
そして、その効果は徐々に大きくなり、1年より2年、2年より3年と、長く続けた方が効果があります。
まずは初めの一年使ってみて、全く効果がないならやめるというのが良いと思っています。
スギとダニのアレルギーしか治療できない
ダニやスギのアレルゲンしかまだありませんので、他のアレルゲンが原因の方は効果が期待できません。
ただし、ヒノキに関してはスギ花粉と似た成分が含まれていることから、スギの治療をすれば半半の確率で効きます。
アレルギー体質の人はスギだけ、とかじゃなくて色々あわせて持っていますから、ほかにもいろいろ治療できるようになってほしいですね。
いろいろアレルギーがある場合にスギやダニだけ治してどこまで良くなるの?っていうのは、やってみないとわからない、という感じです。
ただ、それでもスギやダニで症状が起きている患者さんが多いことから、改善を感じる、という方が多いのも事実です。
さいごに
最近は小さい子でもアレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が増えています。
舌下免疫療法はますます期待できる治療法の選択肢となってきました。
現在は承認されている病名がアレルギー性鼻炎に限られていますが、
喘息には効くことがわかっていますし、さらにアトピー性皮膚炎にも有効であったという報告もあり、小児科領域でも期待の大きい治療法です。
アレルギー性鼻炎を合併している喘息やアトピーの方もぜひお試しいただきたい治療法です。
当院でも行っていますので興味のある方はぜひご相談ください。