鳥と鉛筆

2025.04.16
最終更新日: 2025年04月19日

喘息の診断に画期的!「見えない炎症」を見える化するFeNO検査

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🌿 はじめに

当院では呼気中の一酸化窒素(FeNO)を測定する検査機器を導入しています!

 

これは、喘息の方だけでなく、咳が長引くお子さんや喘息が心配な方、に対して、

 

「見えない気道の炎症」を数値で確認できる画期的な検査です。

 

本記事では、小児喘息の基本から診断の流れ、そしてFeNO検査の役割について、解説しました!



**「ただの風邪?」それとも「喘息?」**と悩まれる時の参考になれば幸いです。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 


小児喘息とは?

 

小児喘息は、子どもに多くみられる慢性の気道炎症性疾患です。

 

特徴的な症状は、「繰り返す咳」「ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴」「呼吸が苦しい」などです。

 

特に夜間や早朝、運動後に症状が出やすいのが特徴です。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

喘息の本質は“気道の慢性的な炎症”であり、症状が出ていないときでも気道内では炎症がくすぶっていることがあります。

 

そのため、「いま症状がないから大丈夫」とは限りません。

 

症状が出ている時はもちろん、「出ていない時」もしっかりコントロールして、気道を良い状態で維持することが重要です。

 

 


喘息の診断について:問診と診察が最も重要!

 

喘息の診断で最も大切なのは、実は「問診と診察」です。

  • どのような咳が出るのか(時間帯、持続時間、誘因)

  • 家族に喘息やアレルギー疾患の人がいるか

  • 夜間や運動後に咳が出るか

  • 繰り返しているかどうか

これらの情報から、診断の方向性が見えてきます。

 

さらに、診察での全身状態の観察や、咳の質、呼吸の様子などをトータルで判断することで、

 

見逃されやすい喘息を的確に捉えることが可能です。

 

特に呼吸音が重要です。

 

独特のゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴が聞こえれば喘息と断定できます。

 

ただ、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴が「夜間にしかない」場合、

 

夜間にしか、聴診では診断できないことになります。

 

その時間にタイムリーに診察を受けるのはなかなか難しいですね。

 

咳喘息とは?

 

咳喘息は、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴を伴わず、「咳だけが長引く」タイプの喘息です。

 

特に夜間や明け方、運動後に乾いた咳が続くのが特徴で、風邪が治った後にいつまでも咳だけ残るというパターンも多く見られます。

 

そもそも喘鳴がないので「聴診での」診断が困難です。

 

このため、喘息を疑うけれども喘鳴がない場合には、治療薬を使ってみて、効けば喘息と診断することになります。

 

このようなやり方を「診断的治療」と言います。
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 

喘息の検査

 

上述のように、繰り返し診察をさせていただくことが重要となるのですが、

 

診断に困る例も実際にはよくあり、役に立つ検査も存在します。

 

喘息の診断に役立つ検査としては、従来より以下のようなものがありました:

  • スパイロメトリー(呼吸機能検査)

  • アレルギー検査(特異的IgEなど)

  • 胸部X線(他疾患との鑑別のため)

 

これらの検査はあくまで「診断の補助」であり、当院でも必要に応じて行なっており、有用な検査ではありますが、

 

最も重要なのは、問診と診察の積み重ねです。

 

一度の診察では診断できないこともよくあります。

 

繰り返し受診時に喘鳴がないか?診てもらうことが大切です。

 

ところが、以下にご紹介するFeNO検査はこれまでの検査とちょっと違います!
Dr. SHIDA
Dr. SHIDA

 


FeNO検査とは?

FeNO(FeNO:fractional exhaled nitric oxide)は、呼気中の一酸化窒素濃度を測定する検査です。

 

この一酸化窒素は、気道に好酸球性炎症があるときに高くなります。

 

好酸球性炎症とは?

 

好酸球性炎症とは、免疫反応の一種で、アレルギー体質のある人によく見られます。

 

気道の粘膜に「好酸球」という白血球の一種が集まり、慢性的な炎症を引き起こす状態を指します。

 

喘息の多くはこのタイプの炎症を伴っており、

FeNOはこの炎症の“強さ”を可視化するためのツールとして使われています。

 

つまり、FeNO検査は「気道に炎症があるかどうか(特に好酸球性炎症)」を

 

非侵襲的に簡単に調べられる検査として、近年注目されています。

 

FeNOの値の目安(小児の場合)

 

新しい検査のため、明確な日本人の小児のデータは少ない現状ですが、

 

当院では、海外のデータを参考に以下を目安と考えています。

FeNO値(ppb)解釈
~19正常範囲
20~34境界域。アレルギー性鼻炎などでも上がることあり
〜35高値。喘息の可能性が高い

 

今後もデータが揃って来れば、多少の修正も必要になってくるかもしれません。

 


🩺 当院での活用例

 

当院では、以下のような場面でFeNOを活用しています:

  • 「咳が続くけど喘息なのか分からない」患者さんの補助診断に

  • 治療の効果判定に(治療によりFeNOが下がっているか?)

  • “隠れ喘息”の発見に

  • 咳喘息の評価や治療方針の決定に

 

聴診で診断できない咳喘息にもFeNOは有用です。

 

喘息の治療中の患者さんでも

 

症状が落ち着いていてもFeNOが高ければ、「再発の兆候」や「治療継続の必要性」を考えるきっかけになります。

 

喘息発作の再燃を、喘鳴が出る前から察知できたりできますし、

 

きっちりFeNOが下がってから投薬を中止する、などの使い方ができます!

 

これは有用ですね。

 

「診察が一番大切」というのはかわりませんが、FeNO検査は強い味方となります。

 

🩺 FeNOが受けられる年齢

 

機械のマウスピースをくわえていただき、

 

指示通りにスーハースーハー、呼吸をしていただく必要があります。

 

指示に上手に従えれば何歳でもできるのですが、なかなか慣れないと難しいですので

 

大雑把な目安として8歳〜くらいを考えています。

 

当院スタッフにご相談いただければと思います。

 


🌿 保護者の方へのメッセージ

 

FeNO検査は、お子さんの「目に見えない気道の炎症」を見つけるための有効な手段です。

 

喘息は適切に治療すれば多くはコントロール可能ですが、

 

見逃されたり、軽く見られると悪化してしまうこともあります。

 

当院では、お子さんの症状と検査結果を丁寧に見ながら、適切な診断と治療をご提案しています。

 

「咳が続いて心配」「喘息かどうかはっきりしない」「治療が効いているか確認したい」といったご相談がありましたら、

 

どうぞお気軽にご相談ください。

 

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オンライン診療

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