2020.07.01
夏に向けてみずいぼ対策!
みずいぼ、プールに入れるかどうか?で悩むことになる夏の子供のよくあり皮膚の病気ですね。
みずいぼの一般的な知識と当院での対応について書きたいと思います。
目次
みずいぼ(伝染性軟属腫)とは
みずいぼは伝染性軟属腫ともよばれ、伝染性軟属腫ウイルス、というウイルスが皮膚に感染性して起こります。
つまり感染症の一種です。
こどもによく見られ、とくに5歳以下に多いです。
みずいぼの症状
すこし光沢のある丸い隆起した柔らかい皮疹で、てっぺんがすこし凹んでいます。
つぶすと中に粥状物質が出てきます。
手のひらや足の裏以外の全身にできます。陰部にもできます。
痛みはなく、痒みも通常ありません。
みずいぼのうつりかたは接触感染
みずいぼはどのようにうつるのでしょうか?
感染のタイプは接触感染です。触るとうつります。
触ってから2~6週間後に症状が出ます。
引っ掻くとうつる
みずいぼを触って、他の部分を引っ掻くとうつります。
みずいぼは基本的には痒くないのですが、こどもは気になって触ったりしますね。
また、アトピー性皮膚炎などがベースにあると、そちらで掻いてしまいますので、どうしても引っ掻くことでどんどんうつります。
他の子も触るとうつる
みずいぼのお子さんの水いぼを触るとうつります。
間接的にさわってもうつる
みずいぼのウイルスがいるもの(タオル、服、おもちゃなど)を触るとうつります。
みずいぼはプールでうつる?
よく水いぼになるとプールに入れないって聞きますね?
でも、水ではうつりません。
つまりプールに入っただけでは感染しません。
ただ、裸なので他の学校生活に比べると、みずいぼが肌に触れてしまう機会が多くはなりますね。
また、プールの遊具やタオル、ビート板などを共有するとうつります。
プールの際に「水いぼがあると一切入れない」という保育園や幼稚園もあるようです。
医学的には下記の対策をすれば感染リスクは低いですので、一律にプールを禁止するのはやりすぎと思っている医師が多いです。
ただ、対策をとっていても、こどもは遊んでいる中で接触する可能性はもちろんあります。
保育園や幼稚園のお考えもあるでしょうから、みずいぼができれば、早めに受診して早く治るようにしましょう。
みずいぼをうつさないようにするには
接触感染ですので、触らなければOKです。
みずいぼをガーゼやバンドエイドなどで覆ってしまいましょう。
プールの遊具やタオル、ビート板などを共有しないようにしましょう。
また、触ってもすぐにしっかり洗えば感染リスクは低くなります。
プールに入った後はしっかりシャワーを浴びましょう。
みずいぼの治療
みずいぼは自然治癒傾向が強い病気です。
健康なお子さんは特別な治療なしに数ヶ月〜2年で治癒します。
また、以下に説明させていただく治療はどれもベストと言われるものはありません。
このため、医師側も治療のスタンスは結構バラバラです。
お子さんにどの治療がベストか?は、病状だけでなく、本人や保護者の考え方・好みにもよります。
迷われる場合にはぜひご相談ください。
*原則として、当院としてはスキンケア+液体窒素を推奨しています。一度お試しいただければと思います。
なにもしない
自然治癒傾向が強いものですので、何もしないのも一つです。
治るならばこれが一番きれいに治るでしょう。
でき始めであれば、まずは様子を見ると良いでしょう。
ただ、全員が自然治癒する保証もなければ、残念ながらどんどん悲劇的に増える場合もあります。
ですので、肌が弱い子にはお勧めしません。
数が増えてくる場合には当院では以下の対応をします。
スキンケア
みずいぼは肌が弱い子にできやすく、増えやすいです。
肌のコントロールが悪いと掻いてしまい、なかなか治りません。
ですので、アトピー性皮膚炎の子はもちろんですが、そうでない子にも当院ではスキンケアをお勧めしています。
状態に合わせて保湿剤や軟膏などを処方させていただきます。
ブッチっと摘除
数が少なければブチっと取る方法もあります。
希望があれば痛み止めの貼り薬をしてから取っています。
が、引きちぎりますので、跡が残る可能性もあり、また痛みを伴いますので、個人的にはあまり推奨していません。
当院では
・1−2個まで
・取りやすいサイズの物
に限り摘除しています。
液体窒素
イボを焼くときに使う液体窒素が有効です。
ブチっと取るよりは時間はかかりますが、確実に治癒が早くなります。
(写真は液体窒素を補充しているところです。)
多少、凍らす時に痛みはありますが、引きちぎるよりもだいぶマシです。
数が多くても対応できますので、3個以上ある場合や小さくて摘除しにくい場合には当院ではこちらをお勧めしています。
リスクとしては凍結させた部分に跡が残る可能性はあります。とくに日焼けすると目立つかもしれません。

漢方薬
ヨクイニンという漢方もよく使われます。
しかしどれだけ効果があるのか?はっきりわかっていません。
それほど害もないので保護者さんからご希望があれば処方させていただいておりますが、
効果は上手くいけば効く可能性もありますが、おまじない程度と思っていただいたほうが良いでしょう。
痒ければステロイド軟膏は塗っても良いのか?
みずイボはウイルス感染です。
ステロイドは炎症を取ってくれる反面、免疫が抑えられて感染には弱くなる可能性があります。
理論的にはステロイドを塗ると、みずいぼのウイルスを押さえ込む力が弱まってしまう可能性があります。
ですから、みずいぼ単独であればステロイドは必要ありません。
しかし、みずいぼ皮膚炎といって、水いぼの周辺に湿疹ができることはよくあります。
また、アトピーがあるお子さんはみずいぼが治りにくいです。ステロイドを使わずにコントロールするのは難しいですね。
大前提として、みずいぼは引っ掻くと悪化するというのがあります。
みずいぼ皮膚炎やアトピーがあれば、早く治したいものです。
湿疹にはステロイドはよく効きます。
では、みずいぼ+みずいぼ皮膚炎に対してステロイドを使って良いのでしょうか?
- ステロイドでみずいぼウイルスに対する抵抗力が弱まるのでは?
- ステロイドを塗らないと引っ掻いてみずいぼがひろがるのでは?
これらのせめぎ合いとなります。
どれくらいステロイドを使って良いかは、じつは科学的にははっきりわかっていないところです。


痒い場合には悪化する可能性が高いのでステロイドでしっかり治すが、短期間にできるだけとどめる、というようにしています。
さいごに
みずいぼはよくある子供の皮膚トラブルです。
プールに入るかどうかでよく話題になります。夏を楽しむためにも早く治したいものですね。
みずいぼを治療するかどうかは病院によってスタンスが異なりますが、当院は積極的に治療しております。
自然に治る場合は良いですが、治りにくい場合やどんどん増える場合にはご相談いただければと思います。