鳥と鉛筆

2019.11.04

抗ヒスタミン薬はアトピー性皮膚炎に有効?

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アトピー性皮膚炎はアレルギーの病気です。

 

抗アレルギー剤を飲んでいる人も多いんじゃないでしょうか?

飲んでても効かない!っていう人もいれば、使っているとちょっとマシかな?と思う人もいると思います。

 

理屈では効きそうな気もしますが、思ったほど効果を感じていない。

実際はどうなんでしょうか?

 

抗アレルギー剤としておなじみの薬です。

 

ヒスタミンとは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に入ると免疫が反応して、放出される物質です。アトピー性皮膚炎での皮膚の痒みの原因と考えられています。

 

この作用を抑える薬が抗ヒスタミン剤です。

 

開発年度の古いものが第1世代の抗ヒスタミン剤とよばれ、それ以降種々の改良が行われて第二世代の薬剤が出てきました。

 

第一世代は眠くなったり、喉が乾いたりという副作用があります。

それが出にくくなるように改良されたのが、第二世代です。

 

こちらのサイトが分類わかりやすいです。

 

第一世代の抗ヒスタミン剤は悪者?

 

最近小児科では、第一世代の抗ヒスタミン剤は悪者扱いです。

 

  • 学習障害がある(ねむたくなるから)
  • 発熱時に飲んでいると痙攣のリスクが上がる

 

とか、結構デメリットばかりいわれていて、あまり積極的には使いたくない薬です。

 

一斉を風靡したセルテクトやザジテンですらほとんど使わなくなりました。

 

ですから通常、小児科では第二世代を使うことが多くなりました。

 

じゃあ、アトピー性皮膚炎の治療に抗ヒスタミン剤を使う場合、

小児科医としては第二世代を選択したくなるのは自然の流れなわけです。

 

2019年に発表された臨床試験の結果

 

このような状況のなか、2019年に注目すべき研究成果が出ました。

 

25個の研究をまとめたもので、対象におとなだけじゃなくて子どもも入っています。

 

これによれば、第二世代の抗ヒスタミン剤はアトピー性皮膚炎の症状緩和に、効果がなかったのです。(SCORADスコアというもので評価しています。)

 

ここで使われている抗ヒスタミン剤は

  • セチリジン(ジルテック)
  • フェキソフェナジン(アレグラ)
  • ロラタジン(クラリチン)

どれも有名な抗ヒスタミン剤。

 

あまり効かないとは思っていたけど、残念ですね。

 

あくまでSCORADスコアでの評価なので、評価できないようなところに微妙な差はあるかもしれませんが、

明らかに効く!、、っていうことはなさそうですね。

 

もちろん、こういう論文の結果ですべての方の治療が決まるわけではありません。

ただ、大勢の患者さんに当てはまる結果とは言って良いでしょう。

 

使っちゃいけないわけじゃありませんが、、、あまり積極的に使おうとは思わないですね。

 

第一世代の抗ヒスタミン剤は効果はあるのか?

 

では、第一世代の抗ヒスタミン剤は、どうなんでしょう。

 

こちらもあまり強く有効だ、といえるデータはありません。

 

しかし、痒みがつよくて眠れないようなアトピー性皮膚炎の方には有効なようです。

 

こちらの研究で出てくるのは

  • ジフェンヒドラミン(レスタミン)
  • ヒドロキシジン(アタラックスP)
  • サイプロヘプタジン(ペリアクチン)

 

ですね。

第一世代は眠たくなる代わりに、痒みを抑える作用が強いですから、

夜は痒くて眠りにくいところにちょうど良いわけです。

 

ジフェンヒドラミンなんか睡眠薬のドリエルに入っている薬です。

かなり眠たくなります。

 

ベストな投与方法や治療期間って決まっていないんですが、

自分が飲むなら寝る前にだけ使います。

 

だって昼間眠いのは困ります。仕事になりません。

 

以前、試しにペリアクチン飲んだら、翌日までずっと眠くて悲惨だった記憶があります。

こどもだって飲んだら勉強できなくなっちゃいますね。

 

どうせ体質を改善するような作用はなく、痒みをとって眠りやすくするくらいの効果しかないんです。

 

それなら寝る前にのみ使うっていうのは、かなりいい使い方だと思います。

 

昼も痒くて仕方がない場合には、昼飲めば良いですし、

飲むのか飲まないのか、どっちが得か、で判断しましょう。

 

最後に

 

アトピー性皮膚炎の患者さんに第二世代の抗ヒスタミン剤の内服は限定的にすべきです。

 

痒みの強い患者さんに限定して、種類を検討して使うって感じですね。

 

メリット、デメリットを相談して、どっちが得かで、決めましょう。

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